「社会学をやっている」と言うと、「社会学って何をするんですか?」と毎回問われる。一言でいえば「できごとを他者や社会との関係から考える学問」だろうか。本書は社会学のお手本とも言い得る名著である。 本書の対象は1968年 […]
名著への旅
編集部イチオシの「名著」をご紹介します。
第32回『陰翳礼讃』
昭和初期に書かれた随筆である。便利な西洋の文明装置のコードやスイッチは、純日本風の家屋では目障りに感じられ、どのようにしたら調和させられるかと葛藤する様子から始まる。西洋と日本(東洋)の文明の発達、そして本質的な美意識 […]
第31回『期待と回想 語りおろし伝』
今年7 月20 日に亡くなった思想家、鶴見俊輔が対話を通じて語り起こした自伝である。晶文社より1997 年出された上下巻をまとめて文庫化したものである。 鶴見俊輔は多くの著作を残した。かれは純化し、体系化された「思想 […]
第30回『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』
数年前から、憲法記念日(を含む連休中)には日本国憲法を読むことにしている。 この本は、井上ひさし氏が、憲法の中でも「これだけは読んでおいてほしい」と思う前文と第九条を、小学生にもわかりやすいようにやさしい言葉にしてみ […]
第29回『日本語は天才である』
著者は数々の翻訳を手がけてきた柳瀬尚紀。かれが翻訳する上で駆使してきた、もしくは助けられてきた言葉遊びについての本である。 縦書き・横書き、漢字・ひらがな・カタカナ、読めない漢字にはふりがな(ルビ)を振る、といった表 […]
第28回『新編 銀河鉄道の夜』
「銀河鉄道の夜」は、言わずと知れた宮沢賢治の代表作である。しかし、実は作者生前未発表の作品であり、完成ではない。にもかかわらず、名作として謳われているのは、最も賢治らしさが出ている作品だからではないだろうか。 その世 […]
第27回『風姿花伝』
誰もが一度は耳にしたことがある書籍ではないだろうか。父である観阿弥とともに能を大成した世阿弥による、能の指南書、理論書である。 能の教えを説いた本であるが、その論の射程は芸能や芸術論に限られない。 かれの論を大づか […]
第26回『はてしない物語』
本そのものの魅力が詰まった一冊である。 表紙はあかがね色の絹で、動かすとほのかに光る。パラパラとページをくってみると、中は二色刷りになっている。小学生の頃、装丁に惹かれて母の書庫から引っ張り出したのが出会いだったと記 […]
第25回『日本語ぽこりぽこり』
エッセイは日常の微細な出来事に焦点をあて、読者に楽しく「振り返り」をもたらしてくれるが、本書はそうした営みを日本のみならず諸外国(主には米国)との往復を通して与えてくれる。このことは、筆者が「外国人」であって、日本語を […]
第24回『土』
長塚の『土』は、漱石が「余の娘が年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座がどうだのと言い募る時分になったら、余は是非この『土』を読ましたいと思っている」と褒め称えた農民文学の代表作である。 本著の特徴は、明治時代の農民 […]
第23回『大阪弁ちゃらんぽらん』
本書は「辞書」である。表題どおり、「大阪弁」の辞書である。「ああしんど」「あかん」「えげつない」など、テレビなどでもよく聞かれるものから、「あんだらめ」「あもつき」といった宮城ではあまり馴染みの無い言葉も含めて、計20 […]
第22回『1984年』
1984年4月4日 ウェリントンが日記に書いた、記念すべき一言である。 物資不足と絶え間ない戦争で荒廃しつつある1984年のロンドンは、厳格な統制が敷かれた社会。主人公のウェリントンは、真理省という役所で記録の改竄 […]
第21回『読書と社会科学』
「名著」とは何か、という問いかけに対して「古典である」と答えることができるかもしれない。「古典」は人々に読み継がれてきた書物であり、だからこそ「名著」である、と。 たしかに「古典」は「名著」たりうるかもしれないが、で […]
第20回『足摺岬』
小欄での私の担当は今回で終了する。最後に、私自身がこの先も長く大切にしていきたい作品を取り上げることにした。 この集は、『落城』『絵本』『小さな赤い花』を始め、著者の作品計10篇を収める(カップリングは『広場の孤独』 […]
第19回『黄色い部屋の謎』
ガストン・ルルーと言えば、『オペラ座の怪人』の著者としてご記憶の方も多いであろう。本作は1908 年の上梓で、創元社によると「密室ミステリの金字塔にして、世界ベストテンの上位に名を連ねる、名作中の名作」ということになる […]
第18回『古寺巡礼』
古寺・古美術の見学印象記である本書は、亀井勝一郎の『大和古寺風物誌』とともに、発表以来数多くの読者に愛されてきた。亀井の本は高校生時代に一度読んだが、これは初読である。 著者がこの時奈良付近に遊んだのは大正7年、29 […]
第17回『禁じられた遊び』
あまりにも有名なこのタイトルは、1947年、まず文学作品として世に出(原題は“Jeux Interdits”)、世界中に大変な反響を呼んだ。 戦争が出逢いをもたらしたミッシェルとポーレット。敵機が上空で唸りを上げるフ […]
第16回『続・未来を生きる
トインビーと“あなた”の対話』
続・未来を生きる トインビーと“あなた”の対話 アーノルド・J・トインビー 毎日新聞社 1971年6月20日 発行 英国の大歴史学者として名を残したトインビーの親しみ易い本である。1971年に毎日新聞社が募集し厳選した […]
第15回『清貧の思想』
バブル経済崩壊直後に出版された本書は、当時大変によく売れたという。その理由はどうあれ、疑い無く賛辞措(お)く能わざる良書である。当時日本に対する諸外国の関心と質問に答えるため、「日本文化の一側面」として著者が話してきた […]
第14回『黒い雨』
1945年8月6日月曜日、広島市、午前8時15分。 原爆による未曾有の戦禍と不安が、『黒い雨』というタイトルによく表われている。自らも被爆した閑間(しずま)重松の『被爆日記』を中心として話が展開され、妻のシゲ子、養子 […]
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