月日 令和8年7月18日(土)14:00~14:40
講師 畑井洋樹氏(仙台市歴史民俗資料館学芸員)
場所 仙台市歴史民俗資料館
主催 仙台市歴史民俗資料館
特別展の初日、担当学芸員の展示解説があるので、時間を合わせて出かけてみました。畑井学芸員が特別展の展示品を順追って案内してくれました。事前に特別展を一覧しておいたので解説の内容が理解しやすくなりました。20名程の入館者を前にして、畑井氏は展示解説にこれほどの人数が集まることは珍しいと言いながら説明には力が入っていました。
仙台古地図の旅展は3回目の開催となり、前回は2018年だそうです。江戸から大正、昭和の時代背景に応じて地図の目的、作り方、内容も変化していく様子がわかります。
今回初めての参加でもあり、図録集を求めました。図録集には仙台の時代別の地図が掲載されています。特別展ではこの他に明治時代以降の鉄道、観光用の地図や名所旧跡の図写真等を配置した地図、鉄道沿線案内図や秋保温泉案内図、航空路図なども展示されています。また、戦前の日本、満州国や東南アジアなどを含む大地図が掲示されています。
学生時代は登山の道案内用の山岳地図を、社会人となってからは仕事上縮尺の異なる数枚の地形図を使用していました。登山地図や仕事で使用した地図は国土地理院の地図や航空写真から作成した地図など正確性を旨とする地図です。
観光地図や様々な案内図等も旅の途上でよく出会います。つい最近、某講演で、商業用、観光用地図として魚眼レンズのようにデフォルメされた鳥瞰図を作成する絵師・吉田初三郎のことを知りました。八戸市(種差海岸)に家族で移り住むなど東北地方との縁もあります。
思いがけなく、今回の特別展でも吉田初三郎の描いた地図が展示されていました。昭和の初期に作成された宮城県の観光地図です。巻物のように細長い用紙に描かれ、仙台海岸~仙台市街地~塩竃・松島~石巻~気仙沼と続く太平洋側から眺めた鳥瞰絵図です。阿武隈川、名取川、七北川、鳴瀬川、北上川などの主要河川とともに、蔵王連峰や奥羽山脈や日本海まで奥行き方向にも山々が描かれています。松島湾、女川と金華山、気仙沼と大島等の風景は初三郎特有のデフォルメされた描写が見事で芸術的です。地図には北は青森まで、南は東京まで、遠く富士山も描かれています。初三郎の鳥瞰図は名所のつなぎの良さ、その強弱、調和が特徴だそうです。宮城の観光地図を見てもそのことが実感されます。
江戸時代、セカンドライフで全国を旅して精巧な日本の測量地図を作成した伊能忠敬の人生に敬服していますが、全国各地をスケッチし、大正から昭和の観光ブームに強く影響した観光地図、商業用地図を数多く描いた吉田初三郎の人生も興味深いものです。1枚の地図に引き込まれた特別展でした。
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