参加体験記

JR東日本東北歴史文化講座『東北6県の未知なる魅力を学ぶ時間』

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月 日 令和8年6月10日~7月4日
講 師 岩鼻通明氏(山形大名誉教授)、齋藤壽胤氏(秋田県民俗芸能協会会長)、
    石井正巳氏(東京学芸大教授)、赤坂憲雄氏(学習院大教授)、瀧本壽史氏(弘前大特任教授)、
    田中康弘氏(作家、カメラマン)、田崎農巳氏(原敬記念館主任学芸員)、
    若林繁氏(元福島県立博物館学芸課長)、岡田康博氏(青森県世界文化遺産登録専門監)、
    川島秀一氏(東北大災害科学国際研究所シニア研究員)、
    後藤光亀氏(東北土木遺産研究所所長)
場 所 JR東日本東北歴史文化講座Webサイト オンラインで受講
主 催 JR東日本東北歴史文化講座事務局

 JR東日本が東北歴史文化講座として、8年ほど前から開催してきたシリーズ講座です。東北地方に受け継がれてきた歴史や文化を身近に感じて欲しいとの趣旨で開講され、東北各地で開催されていました。講演の録画がWebサイトで公開され、オンラインで視聴できるようになっています。ですが、これも6月末で終了という知らせをメールで受け、取り急ぎ、ランダムに選びながら聴講してみました。

・ 出羽三山、江戸隆盛の秘密~家康の威光と物語が広めた憧れの霊山~
・ 神々と生きる町、秋田の民俗学入門~ナマハゲはどこから来るか~
・ 菅江真澄の図絵で旅するみちのく秋田~漂泊の旅人は何を発見し、記録したか~
・「日本奥地紀行」と旅する山形~イザベラ・バードが見つめた東北の素顔
・ 海の道・津軽海峡をめぐる交流史~松前街道から青函連絡船就航への軌跡~
・ 山の不思議な話とマタギの世界~狩猟を通して見る東北の山人たち~
・ 不撓不屈(ふとうふくつ)の南部魂 ~楢山佐渡から原敬へ、盛岡の幕末・維新~
・ 高僧・徳一と理想の仏都~仏像で訪ねる会津の仏教文化~
・ 縄文の「食」をめぐる冒険~世界文化遺産が物語る北の縄文生活~
・ 三陸漁師を支える海の力~エビス、船霊、龍神に見る漁撈文化~
・ 明治日本が夢見た東北開発~東北の三大土木遺産が語る国家プロジェクト~

 海の道の津軽海峡を往来し、縄文時代から北方地域と交流交易があった北東北地域の人々。東北以外から訪れた徳一や芭蕉、菅江真澄、イザベラ・バードたちの足跡を辿る旅。マタギ、ナマハゲという秋田を象徴する文化。原敬に代表される明治維新敗者盛岡藩出身者たちの日本を牽引する活躍ぶり。東洋のアルカディアと称された米沢、仏都会津に伝わる仏像の数々。北東北の縄文人の暮らしと食生活。三陸沿岸の漁師の海との暮らし。明治日本の福島、宮城、山形の国家的土木プロジェクトと地域の人々。知っているようで詳しくは知らない話題、初耳の物語等々、東北各地の歴史と文化の話題が豊富です。この他にも東北地方の各時代、各地域固有の歴史と文化の話が多数あります。
 7月に入り、講座のWebサイトには終了の説明表示がありました。一方、終了前に視聴登録した後の返送メールからのアクセスは可能でした。開いてみると視聴も出来ます。2018年開始以来、公開された講座を検索してみました。既にオンラインでは聴講はできないものの、講演概要資料が作成添付されている過去の講座もあります。講座数は最新のものまで数えると31でした。出羽三山神社や秋田県のマタギのように同じ題材を違った視点で扱っている講座もあります。
 マタギについては前述の田中康弘氏の講座とともに田口洋美氏の「いま求められる“旅マタギ” 狩猟の民はなぜ山を越えたのか」があります。(2019年11月16日公開)。講演概要資料によれば、江戸時代は有史以来最も山林面積の減少した時期であり、各地でオオカミなどによる獣害がおき、被害も深刻でした。そこでマタギの狩猟技術が注目され、各地から乞われて害獣の駆除にあたりました。現在の日本は森林面積率が高い時代となりましたが、林業が衰退し、林業や狩猟に携わる人も少なくなり、獣害が深刻な問題になっています。マタギは古来山に学び野生動物の行動を熟知し、山で生きる術を連綿と蓄えてきた人々です。また、旅マタギは他所への技術の移転や各地の狩猟技術を活性化させました。そして狩猟には野生動物を集落から退け、適度な距離を保つ役割もありました。現在は行き過ぎた野生動物の保護と狩猟者の減少、高齢化、狩猟技術の衰退などの要因により自然との距離の取り方も崩れてしまっているとのことです。
 熊被害が近年顕著になっており、特に東北地方には多く、死亡被害者も出ています。現在のホットな話題ですが、マタギの歴史や文化を辿ることが対策の参考になりそうです。
 菅江真澄と同様に東北出身者ではないのですが、人生の過半を東北の地で暮らしている身です。各講師から多岐にわたり教えを受け、多くの糧を得ました。講座が終了したのは残念ですが、これからもさらに理解を深める旅ができればと思っているところです。

(仙台市 栗蔵)

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