
『われはロボット〔決定版〕』
アイザック・アシモフ 著
(小尾芙佐 訳)
早川書房
(2004年8月6日発行)
「人間に加害しないこと/人間の命令には絶対服従すること/前2つに反しない限り自己保存すること」
いわゆる「ロボット三原則」から始まる本書は、ロボット心理学者スーザン・キャンヴィルの回想を軸に、ロボット開発史をたどる構成となっている。そこでは、三原則の成立不可能性が描かれる。例えば、命令服従と自己保存のはざまで“堂々めぐり”する作業ロボット、加害を避けるために人が望む回答を続けるロボットなど、である。ここには、人間による指示命令の根本的な曖昧さがある。近年、生成AI が普及するなかで、意図どおりに動いてくれない機械に四苦八苦する体験も増えてきているが、そうした人間とロボットの根本的な関係性の問題が、本書では面白く書かれている。
しかし、本書は決して現代の人とロボットとの関係を予言したものではないだろう。むしろ、両者の関係は、アシモフの時代から基本的には変わっていないのではないか。アシモフのロボットへの深い理解が垣間見られる、今読んでも新鮮な読後感を与えてくれる名著である。
(寺)
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