参加体験記

学都仙台コンソーシアムサテライトキャンパス公開講座・2講座レポート!

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■学都仙台コンソーシアムサテライトキャンパス公開講座■
①身近な粉の面白さを見つけてみませんか~幼虫の糞の形から雌雄がわかるかも?」
②「粉の動きを知る」
日時:令和7年11月15日(土) ①10:30~12:00 ②13:30~15:00
講師:①高井千加氏(東北大学多元物質科学研究所、名古屋工業大学 教授)
   ②加納純也氏(東北大学多元物質科学研究所 副研究所長、教授) 
場所 仙台市市民活動サポートセンター6Fセミナーホール
主催 東北大学教育・学生支援部

 今回は東北大学多元物質科学研究所所属の2人の講師による粉体工学の講座です。参加者はシニアが多い11名でしたが、会場は熱氣に包まれていたようです。
 講座では多元物質科学研究所の紹介や2人の講師の研究テーマ、粉体工学に関する研究活動を紹介しながら、講師の研究経歴やその成果の一端、今後の研究展望について巧みな話術で説明され、楽しく拝聴しました。研究者を志した理由や紆余曲折を経て歩んできた研究者の道を振り返っての人生観などについても熱く語られました。
 高井講師は研究者名としては高井(山下)千加として旧姓を用い、夫君も同じく研究者で、一児の母です。東北大と名古屋工大の両大学に所属しており、仙台と名古屋の間を往復しているそうです。昆虫が大好きで粉体の研究のためにカブトムシの幼虫を飼育しています。腐葉土の中に暮らす幼虫は腐葉土を口から入れてかみ砕き、3つの腸(前、中、後)の中で混合・成形し、糞として排出します。これは粉体工学のプロセスと相似しています。幼虫の糞は雌雄で形状が異なることを見いだし、粉体ならぬ糞体の形状から雌雄を見分ける方法を発見することになり、論文にまとめて学会で発表したそうです。
 講座の出席者の参考にとカブトムシの幼虫を会場に持参されました。研究室や自宅のベランダに幼虫二千匹飼育していたそうです。この成果を粉体工学、材料設計へ応用すべく今後研究をさらに進めていくそうです。
 粉は日常の様々な生活分野で活用されています。しかし、粉砕、混合、焼結、成形といったプロセスの詳細についてはまだ解明できていないこともあるそうです。そのため、粉体の挙動をシミュレーションして解決の一助とする研究分野もあります。
 加納講師は学生時代から長年粉体シミュレーション技術の研究に取り組んでこられ、シミュレーション技術を利用した研究成果の事例をいくつか紹介されました。様々な企業からの依頼や共同研究も行われ、成果が社会に実装されています。
 現在は下水道汚泥から水素を製造する方法について研究を進めています。下水処理場に水素製造技術を導入し、得られた水素をクリーンエネルギーとして活用することによって、社会システム全体でのCO2排出削減などにも効果が得られるものです。しかし、当初から研究に参加していた弘前市が脱退することになり、共同研究者を探しているとのことです。
 粉体工学の係わる範囲は、化学工業、鉄や非鉄、セラミックス、医薬品、電子部品、塗料、化粧品、エネルギー、鉱工業、廃棄物処理、産業機器など幅広いものです。私達の暮らしには欠かせないものです。粉体工学という分野について多少の知識はありましたが、裾の広さを改めて理解することになりました。
 自分の好きなことを追求する、あるいは迷いながらも研究の道に進み、成果を上げてきた講師の話には研究生活の楽しさや充実した様子が窺えました。勿論ご苦労もあったでしょうが。今年、2名の日本人科学研究者がノーベル賞を受賞しました。喜ばしい限りですが、講師の研究分野も含め、多くの若い人が科学に興味を持ち、研究の道に進んでいくことを期待したいものです。

(仙台市 栗蔵)

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