参加体験記

【東北学院大学ヨーロッパ文化総合研究所公開講演会】古代ローマ法研究の可能性―遺跡・遺物からみえるものー

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日時 令和7年6月21日15:00~16:30
講師 宮坂 渉 氏(筑波大学人文社会系准教授)
場所 東北学院大学土樋キャンパス8号館5階ホール
主催 東北学院大学ヨーロッパ文化総合研究所

 以前にも同研究所主催の講演会に参加したことがありましたが、リーフレットで知り、参加してみました。久しぶりです。古代ローマに関してはインフラ施設に関心が強く、ローマ法は不得手な分野ですが、副題に誘われました。
「古代ローマ法という抽象的で難解とされるものを現代に残る古代遺跡・遺物から当時の人々の生活と法の実態に迫り、具体的なイメージを伝えたい」という趣旨のリーフレットの説明です。
 講師は最近も在外研究としてイタリアに1年間行っていたそうです。講演でも自身が撮影した現地の遺跡・遺物のスライド写真が使用されていました。
撮影地はイタリアのみならずフランス、イギリスなどのヨーロッパ各地やアフリカなどにも広がります。
 講演ではスライド写真を見ながら古代ローマ帝国の遺跡等を案内されているようでした。日々の生活や仕事の場面、娯楽、食から死(墓地)に関わるトラブルの16の判例について、史料に示された内容を遺跡や遺物の写真により視覚化して分かりやすく聴講者に伝えています。確かに当時のローマ人の生活や文化事情をよく知らないため史料の文章だけでは判然としない事例もあります。
 講演資料では「テキスト(特に抽象的な法文)を読むだけでは具体的なイメージが湧かないが、遺跡・遺物を見てテキストを思い浮かべることでイメージを掴むことができ、思わぬ解釈の可能性も浮かぶとし、遺跡・遺物を見、テキストを読むことによって人々の営みと法や裁判の役割も知ることができる。」とまとめ、「このような取り組みはローマ法研究をより豊かに、魅力的に語ることができる。」と締めくくります。
 ところで、6月14日は17年前の平成20年に岩手宮城内陸地震が発生した日です。地震や土石流災害で被災した栗原市の被災地で、本務ではないものの職務として災害復旧事業に当たった経験があります。応急復旧工事が終わり、本格的な災害復旧工事の段階に進んだ頃、失敗学で有名な畑村洋太郎氏が現地を訪れた際に現場案内をしたことがあります。失敗学では失敗の調査は三現(現地、現物、現人)の実践が基本です。現地に行き、現場を見て、聞いて関係者の話を聞くことが必要条件です。現人の立場で研究者との会話から地震現象について氣付かされる事もありました。
 どの分野でも様々な調査研究を進めるうえで、現地・現物を見て、現地の人に話を聞いて確認することの重要性は変わりません。古代ローマ法では現人から直接聞くことはできないので、史料の解読がそれに代わると思いますが、想像力も必要でしょう。研究者にとっても、古代ローマ法研究を聴講者に分かりやすく伝えるだけではなく、研究も深化させることがあるのかなと思ったりもします。

(仙台市 栗蔵)

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