参加体験記

21世紀減災社会シンポジウム・阪神・淡路大震災30年~「大震災の時代」へ継承すべきこと

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日時 令和7年2月8日(土)13:30~17:00
講師 室﨑益輝氏、上田真由美氏、御厨貴氏、阪本真由美氏、門脇幸子氏、頼政良太氏、長沼隆之氏
主催 朝日新聞社、ひょうご震災記念21世紀研究機構
場所 神戸朝日ホール オンライン参加

 今年、1月17日に阪神・淡路大震災(以後「大震災」と略す)から30年の節目を迎えました。このシンポジウムは毎年開催されており、Web視聴もできます。今年は副題に示されたように今後予測される南海トラフ地震や東京直下型地震などの防災対策に対して教訓として伝え、継承すべきことについて議論されました。概要は朝日新聞の2月15日付朝刊に掲載されています。
 基調講演は室崎益輝(神戸大名誉教授)氏が大震災後の30年を振り返り、復興や災害対策等について講演され、30年の歴史の重みと深みのある内容でした。
 過去の災害からの教訓や復旧復興の成果などを踏まえ、災害救助法、災害復興法や災害対策基本法などを見直し、災害関連法制度も時代の変化に合わせて抜本的な改正を図るべきとしています。
 神戸では短期的な課題の解決のため、被災者の生活再建を優先したが、理想的な社会を目標に長期的な課題について検討していく必要性を強調されています。人間の復興、高齢社会への対応が重要な課題になります。
 大震災の経験や教訓が能登半島地震などの被災地に伝わっていないことにもふれ、大震災被災者の伝え方に課題があったと反省されています。成功体験を押しつける一方で失敗体験等を伝えていない、各被災地域の特殊性への配慮に欠けていることなどです。これらの点はボランティア活動にも同様のことがいえます。ボランティアの個人的体験が共有化されず、自己の経験を絶対視し、被災地域の状況に合せて柔軟な対応をする姿勢に欠けていたのではないかと議論されていました。
 パネルディスカッションでは御厨氏の巧みな司会で4人のパネラーの意見を引き出していきます。
 各パネラーの話題提供から始まります。阪本真由美氏(兵庫県立大教授)は大震災の教訓を①「大地震」は起きないという思い込み、②地方分権型災害対応の限界、③「支援」を活用するマネジメントの不在の3項目に総括していました。氏の近著「阪神・淡路大震災から私たちは何を学んだか 被災者支援の30年と未来の防災」には詳しく記されています。外国での活動経験もあり、ボランティア活動も行いながら災害支援研究を進めている実践的な防災研究者です。
 議論に入ると、御厨氏は次のような問いを発してパネラーの意見を深めていきます。
①能登半島地震に(大震災の教訓など)どう活かされたのか?
②30年という年月を考慮すると人材の世代交代の時期になるが、適切に交代するためにはどうすべきか?
③災害体験をどう伝えていくか?
④南海トラフ地震への備えをどうするか?
 今回の議論から対応すべき方向性は示されているように思えます。ボランティア活動、災害関連死、被災者支援制度、心の復興など大地震後から始まったとされる多くの災害対策があります。災害の経験や教訓をいかに伝えていくか、昔からの課題をどう克服していくか、さらには災害伝承を継承していくためのスムーズな世代交代の課題もあります。
 30年後の今日、兵庫県では住宅の耐震化率がそれほど伸びていないのに対して、高齢化率は15%から29%へ増え、一人暮らしの高齢者数、空き家率も増加しています。こうした傾向は日本全体でも同様といえます。能登半島地震は高齢社会への災害、しかも震災後の夏の洪水災害、冬の雪害も重なる複合災害となっています。
 東日本大震災前、宮城県では予想されていた宮城県沖地震対策として県民への周知や準備を重ねていました。が、自然は衝撃的で手強いもので、未曾有の地震災害となりました。防災事業や災害対応などを職務としていた経験はあるものの、数年後に後期高齢者となる我が身の問題としても、被災者支援について今回の議論を参考に考えてみたいと思います。

(仙台市 島田昭一)
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