名著への旅

第68回『地震日記 能登半島地震発災から五日間の記録』

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『地震日記 能登半島地震発災から五日間の記録』
 鹿野桃香 著
 2024年5月20日 初版発行


 1年前の元旦に発生した能登半島地震の際、筆者は、移住先の石川県珠洲市で被災する。元旦の朝から発災後の5日間についてスマホに記録していた日記をZINE(個人発行の小冊子)として発行したのが本誌である。発災直後のパートナーとのやり取り、移住仲間や地元の人たちと無事を確認しあう様子、飼っている猫たちへの想いなどが率直な言葉で綴られている。

 緊急地震警報と共にテレビをつけ、緊張感高まる避難指示のアナウンスを聞きながら、祈るような氣持ちで画面を見つめたあの日のことを思い出す。14年前、実際には綴ることはできなかったが、心の中でこういう日記を書いていたような氣がした。ある程度の年月が経過すれば、公的機関や専門家が作成する体験談集などが公開されることだろう。果たしてそこに当事者のリアルタイムで個人的な氣持ちや体験を聞き取ることは可能だろうか。
誰かが記録を残さなければ、埋もれてしまう想いがある。

 情報発信の技術はこの十数年で格段に進化しているはずなのに、復興のスピードはどうだろう。終わりが見えない戦争や侵略や政治のゴタゴタで、能登の復興状況をメディアで知る頻度は十分とは言えない。我々一市民として出来ることはなんだろうか。既存のメディアに頼りすぎていない本誌のような「市民メディア」の力はこれからますます大きくなると実感した。

(庄)
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