ガストン・ルルーと言えば、『オペラ座の怪人』の著者としてご記憶の方も多いであろう。本作は1908 年の上梓で、創元社によると「密室ミステリの金字塔にして、世界ベストテンの上位に名を連ねる、名作中の名作」ということになる。
時間的に見ると、コナン・ドイル『緋色の研究』(ホームズ初出)が1887年、モーリス・ルブラン『怪盗紳士リュパン』(ルパン初出)が1907 年にそれぞれ出版されている。
フランスの古城にある離れの密室《黄色い部屋》で、世界的科学者の娘が瀕死の重傷を負わされる。世間の耳目を集めるこの事件をめぐり、パリ警視庁の名探偵と、弱冠18 歳の青年新聞記者とが真正面から推理を戦わせる。前者は経験とカンに基づく証拠主体で、後者はあくまで理性による論理主体で。これだけでも十二分に読ませるが、さらに驚くべき第二、第三の不可思議事件が発生し、事の意外性と推理の妙を堪能できるのが本作最大の特色である。
時代的な古さは多少感じさせるが、トリック・推理・意外性は一世紀有余を隔ててもなお瞠目に値する名品である。
(曜)
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