名著への旅

第16回『続・未来を生きる
     トインビーと“あなた”の対話』

  • LINEで送る
続・未来を生きる トインビーと“あなた”の対話続・未来を生きる トインビーと“あなた”の対話
アーノルド・J・トインビー
毎日新聞社
1971年6月20日 発行

 英国の大歴史学者として名を残したトインビーの親しみ易い本である。1971年に毎日新聞社が募集し厳選した、一般読者14人によるトインビーへの質問とその回答が収められている。当時大学者82歳である。この企画にまず拍手を送らねばなるまい。

 「老人と生(20代・女性)」「情報の洪水(60代・男性)」「過去の世代の罪(10代・女性)」「世界国家(30代・男性)」「自己中心性(20代・男性)」「ウーマン・リブ(50代・女性)」などのテーマに示されるように、教えをこいねがう質問者の衷心(ちゅうしん)からの思いは熱く真摯である。

 「~についてどうしたら(考えたら)よいか」という直截(ちょくせつ)的な問いに、普通の人間はなかなかに答えられるものではない。この中でトインビーは決して逃げることをしない。自分をも含めて是は是、非は非とし、長年の研究と深遠な洞察から紡ぎ出される言葉はさすがに重みがある。

 記憶が正しければおよそ30年程前、東京高円寺の古書店で購(あがな)ったものである。今回Internet上で調べたところ、ある程度古書市場に出品されている。現代にあっても座右に置いて損はない書物である。

(曜)


  • LINEで送る