日本人最長163日間の宇宙滞在記録を残した野口聡一氏が、高校時代に読んで宇宙飛行士になる決意を固めたというのが本書である。
この本の最大の眼目は、「帰還」を果たした宇宙飛行士たちの宇宙体験について、その内面的精神的認識に焦点を当て、まとまった聞き書きという形で大衆の面前に引き出した点であり、世界でも初めての試みであった。
宇宙空間から地球を眺め、月に降り立つという経験を持つほんのひと握りの人間たちが、その時何を思い、どのようなインパクトを感じ、「帰還」後の人生をどのように歩んだか。宇宙飛行士たちの語る人間、宇宙、神、存在、生物と進化などについての言葉は興味と重みに充ちているが、「帰還」後の心のあり方は一様ではない。その内面のドラマを12人の元宇宙飛行士に取材している。
冒頭からの序論部は、地球、宇宙、ロケット打ち上げ、月世界についての必要かつ十分の入門書であり、また、結末部にある人類や地球の本質と未来、多様性や環境に関するシュワイカート(アポロ9号乗組員)の言葉は、熟読玩味すべき示唆に富む啓発の書ともなっている。
(曜)
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