名著への旅

第7回『決断の条件』

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 日本人にとって決断することが苦手なのは昔も今も変わらぬようだ。本書が発行された34年前、その序論には「今私たちはこの決断の世界へ突入していく運命にある」と述べられていた。
 決断の条件とその基になる人間学について、イタリアルネサンス期の外交官、良くも悪くも『君主論』で有名なマキャヴェリの言葉、中国古典の『韓非子』『孫子』『六韜(りくとう)』などを引いて論説している。専門の歴史研究に裏打ちされた透徹な目は、人間の本性をその極みにまで踏み込んで捉えている。
 明智光秀の謀叛、大塩平八郎の乱、盧溝橋事件、キューバ危機……。歴史はこう見なければならなかったか、の念ひと方ならぬものがある。

 国際化の一段の進展、経済の後退化、企業間競争激化の現代にあって、決断の重要性は増すばかりであるが、本書は古今の戦乱や政治上の視点に終始せず、むしろ我々が属する一般社会での決断に主眼を置いている。いつの時代でも色褪せない本物の思想・考究がここにある。

(曜)
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