梅棹忠夫氏は国立民俗学博物館の初代館長を務めた方で、その代表的著作『情報産業論』が発表されたのは1963年(昭38)であった。「情報産業」という言葉は著者の造語であり、来るべき情報産業化社会の到来を世界に先駆けて予測した論文である。
似た論旨を持つA・トフラーの有名な『第三の波』(1980年)に先立つことおよそ20年前のことである。
その最もユニークな観点は、人類の産業史を動物発生学的概念によって、内胚葉産業(農業の時代)・中胚葉産業(工業の時代)・外胚葉産業(精神産業の時代)と捉えたことである。外胚葉器官の代表は脳神経系・感覚諸器官である。将来、これら脳神経系・感覚器官の充足と拡充を図る産業が大きな比重を占めると読んだ。いま現代において、その実証例はいちいち挙げるまでもなかろう。また、価格決定要因としての「お布施」の理論も読んでいて楽しい。
本書にはこの『情報産業論』と、それを補足・発展させた数篇の論文やインタビューが収められている。
(曜)
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