「大衆迎合主義」とも訳されるポピュリズム populism は、反民主的なものと解されているのではないか。威勢のいい発言と人氣取りに始終し、民衆からの支持を背景に強権的でときに横暴に振る舞う政治家の姿を容易に思い浮かべられるだろう。
しかし本書で示されるのは、ポピュリズムが民主主義と決して対置的ではない、ということだ。例えば、ポピュリズムは独裁に対しては民主的な解放の手段となるし、大きく民意を政治に反映させる手法でもある。他方で、タブーを破ることも厭わないその姿勢が排外主義などと結びつくことで抑圧的な性質を孕むこともある。
本書は、ポピュリズムの持つ複雑さを、南北アメリカ・ヨーロッパ・日本などを舞台に、その誕生から今日までの展開の歴史を振り返ることで明らかにしている。政治のあり方が、左右の対立から上下の対立へと移行するなかで、「下」からの政治運動であるポピュリズムについて学ぶ意義は大きい。
(寺)
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