編集部だより

プロスポーツをマネジメントする。

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先日久しぶりに東京へ出張してきました。行き先は早稲田大学大隈講堂。

そこで「日本スポーツ・マネジメント学会」の公開講座を聴講してきました。

今回の講座は在日米国大使館、日本スポーツマネジメント学会、早稲田大学スポーツ科学学術院の共催で行われ、内容はアメリカのメジャーリーグ(MLB)での話をベースに、日本プロ野球協会(NPB)のあり方や今後の展望などを基調講演、パネルディスカッション形式で展開されました。

※参加者、内容についてはこちらをご参照下さい。http://e-jasm.jp/seminar/la_seminar.html

なぜこの公開セミナーに参加したかというと、実は仙台という地は、プロスポーツ球団が3つもあるという珍しい地域だったりします。

そういう地域で何ができるのか、競技スポーツをどうビジネスに繋げられるのか興味が湧いたのでちょっと足を伸ばして聴いてきました。

詳しい内容は省略させていただきますが、さすがだなと感じたことは、MLBでは「ファン」と「消費者」を明確に分けていること。

「ファン」とは情熱的、熱狂的な観戦者であり、「消費者」はモノ、サービスにお金を払ってくれる人だということ。

当たり前といっては当たり前なのですが、思わず感心してしまいました。

「いかにファンの情熱を消費に繋げるか」

これが目標です。

そのためにはそもそも

・ゲームが面白くなければはファンは来ない。

・ゲームを面白くするためには戦力が拮抗してるべきである。

・各チームが同じような経済規模であって、均等に戦力補強がされるべき(これは日本は…ですね)

さて、じゃあその経済収入に繋げるためには?

・チケットの販売収入。(これは当然ですが)

・家族で遊べる、楽しめる場所でなければならない。

・そのためには野球を観られない小さな子供でも楽しめる場でなければならない。

・1回見に来るのに多額の消費をさせてはいけない。

・その場に行きたくなるような広告宣伝。

これらに加えて、「ファン」の「地元チームへの愛着心を満たしてあげる」のが、「ファン」に消費行動を起こさせ「消費者」にしていくことに繋がるとのこと。

地元の人が「自分の住んでる街には野球チームがある」、「自分はあの○○チームのある街に住んでいる」と他の人にアピールできる「グッズ」がやはり一番。

こういったロジックが明確にされているところは、さすがアメリカだなぁと感じました。

今回、基調講演、パネルディスカッションを通して感じたことは、「スポーツ」をビジネスの視点で見たとき、NPBはまだまだ「競技野球を見に来てもらう」という視点から抜けきれていないように感じました。

極端な言い方をすれば「見に来たいヒトは見に来ればいい」「じゃあそこにヒトが集まるんならチケットを有料にすればいい」「観てるとノドが乾いたり食べ物が欲しくなるだろうから売店を出せば物も売れるよな」という視点なのではないでしょうか?

だから人を集められる球団は「強い球団」でなければならず、当然偏りが出てしまいます。当然経済力があるチームが強くなる=スポンサーがお金持っているところが強くなる。
お話では球団は地域のものであって、企業が前面に出ない方が良いというお話もありました。

球団の経済バランスについて、ひとつ面白い数字を見せて貰いました。

MLB、NPBの年間総売上高の比較です。(推定)

MLB 5,700億円/30球団 Ave.190億円
NPB 1,400億円/12球団 Ave.120億円

これを見る限り球団単位で考えればそう大きな差があると見えないと思いますが、実はこの「平均値」に落とし穴があります。

売上高の分布を見てみると、MLBは平均値近くの170億円付近を頂点として山形になっており、その頂点を形成している球団数が13球団あります。
しかしNPBを見てみると90億円付近に7球団が集中しています。それもこれがほぼ最低ラインでこれより右に他の球団がいるという状態です。(最高売上球団は220億円)

こういう格差の中で各球団がいろいろと選手補強や宣伝広告などをするのは相当大変だろうな、というのを如実に表す数値となっています。
仙台でもプロスポーツとしてサッカー、野球、バスケットボールというイベント性を持つ「商業資産」がありますが、そういった資産をビジネスに繋げていくということは、きちんとマネジメントしなければならない世界なのだ、ということを勉強させてもらいました。

スポーツイベントは商業、産業として「地域資産を生かす~」という言葉にイメージされることが難しいのですが、「プロスポーツ球団が3団体もある」という特色を生かした「スポーツ産業」がもっと活性することを願ってやみません。

またこの分野は仙台では、仙台大学がコースを設けて日々学生さんたちが学んでいます。

是非、球団任せではなく、大学として積極的に持てる知識、行動力を発揮して、地域ビジネスに活力を与え、仙台のスポーツイベントを盛り上げ、商業としても地域活性に繋げてもらいたいと感じました。

ここで敢えて、ひとこと言わせていただくと…学都仙台は東北大学だけではありません!

今回、大学と学会、国を跨ぐ講演会を聴き仙台を顧みたとき、強くそれを感じました。

「まなびのめ」編集部 笹氣義幸

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