名著への旅

編集部イチオシの「名著」をご紹介します。

名著への旅

第19回『黄色い部屋の謎』

 ガストン・ルルーと言えば、『オペラ座の怪人』の著者としてご記憶の方も多いであろう。本作は1908 年の上梓で、創元社によると「密室ミステリの金字塔にして、世界ベストテンの上位に名を連ねる、名作中の名作」ということになる […]

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第18回『古寺巡礼』

 古寺・古美術の見学印象記である本書は、亀井勝一郎の『大和古寺風物誌』とともに、発表以来数多くの読者に愛されてきた。亀井の本は高校生時代に一度読んだが、これは初読である。  著者がこの時奈良付近に遊んだのは大正7年、29 […]

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第17回『禁じられた遊び』

 あまりにも有名なこのタイトルは、1947年、まず文学作品として世に出(原題は“Jeux Interdits”)、世界中に大変な反響を呼んだ。  戦争が出逢いをもたらしたミッシェルとポーレット。敵機が上空で唸りを上げるフ […]

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第15回『清貧の思想』

 バブル経済崩壊直後に出版された本書は、当時大変によく売れたという。その理由はどうあれ、疑い無く賛辞措(お)く能わざる良書である。当時日本に対する諸外国の関心と質問に答えるため、「日本文化の一側面」として著者が話してきた […]

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第14回『黒い雨』

 1945年8月6日月曜日、広島市、午前8時15分。  原爆による未曾有の戦禍と不安が、『黒い雨』というタイトルによく表われている。自らも被爆した閑間(しずま)重松の『被爆日記』を中心として話が展開され、妻のシゲ子、養子 […]

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第13回『青春を山に賭けて』

 厳冬のマッキンリーで著者が消息を絶ってから27年の歳月が流れた。  本書には、アマゾン河6,000キロ単独イカダ下りを間に挟んで、世界初の五大陸最高峰登頂後までのことが語られている。次なる目標である極地へ向かう前までの […]

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第12回『宇宙からの帰還』

 日本人最長163日間の宇宙滞在記録を残した野口聡一氏が、高校時代に読んで宇宙飛行士になる決意を固めたというのが本書である。  この本の最大の眼目は、「帰還」を果たした宇宙飛行士たちの宇宙体験について、その内面的精神的認 […]

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第11回『緋文字』

 清教徒の新天地、米国ニューイングランド。この地で大いなる過ちを犯したへスター・プリンは、結果ひとりの女の子を産み、それをパールと名付ける。罪の裁きが下され、一生胸からはずすことの許されぬのが、恥辱と贖罪の印としての緋文 […]

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第10回『ロウソクの科学』

 これはロンドンの王立研究所の教授であったファラデーが70歳の年(1861年)、少年少女たちに対し全6回にわたって語られ演じられた公開講演の記録である。記録者はクルックス管を発明した物理学者、ウィリアム=クルックスである […]

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第9回『福翁自伝』

 中学校時分からずっと目の前にありながら、永く読まず嫌いをしてきた本である。どうも「天ハ人ノ上ニ人ヲ造ラズ人ノ下ニ人ヲ造ラズト云ヘリ」から来る堅いイメージが一因であったようだ。  「フランクリン自伝」などとともに、自伝文 […]

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第8回『風船』

風船 大佛 次郎 著 新潮社 日本文学全集 21 1971年7月20日 初版発行  昭和30年に発表された作品である。この前後に目を向けてみると、川端康成『山の音』(29年)、三島由紀夫『金閣寺』(31年)、井上靖『氷壁 […]

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第7回『決断の条件』

 日本人にとって決断することが苦手なのは昔も今も変わらぬようだ。本書が発行された34年前、その序論には「今私たちはこの決断の世界へ突入していく運命にある」と述べられていた。  決断の条件とその基になる人間学について、イタ […]

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第6回『レ・ミゼラブル』

レ・ミゼラブル ヴィクトル・ユゴー 著 / 石川 湧 訳 集英社コンパクト・ブックス 世界の名作・18 1964 年11 月30 日 初版発行  この小欄用に今回再読してみた。最初に読んだのは中学2、3年の頃。シリーズ名 […]

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第5回『鎮守の森』

 著者が指導・監修したプロジェクトには、某流通大手Aグループによる、地域住民とともに自社店舗施設に木を植える運動と、 1998年から2000年にかけての中国万里の長城への植樹活動などがある。   「鎮守の森」とは「ふるさ […]

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第4回『古語雑談』

 今日まで日本語に関する著作は数多いが、この本は少々趣が違う。まず、章立てが奥ゆかしく出来ている。また、その節項目も順次関連しながら発展していく様は舌を巻くうまさである。加えて、日常なかなか知り得ない古文献からの引用が豊 […]

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第3回 『情報の文明学』

 梅棹忠夫氏は国立民俗学博物館の初代館長を務めた方で、その代表的著作『情報産業論』が発表されたのは1963年(昭38)であった。「情報産業」という言葉は著者の造語であり、来るべき情報産業化社会の到来を世界に先駆けて予測し […]

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第2回『まちづくりの発想』

   著者は横浜市の「みなとみらい21」を提案・推進し、成功させた人物で、ウィキペディアには「まちづくり」という言葉を全国に広めた人だと出ている。この方、並みの精神力ではない。  「まちづくり」の構造や思想、語り草となっ […]

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第1回『大地』(一)~(四)

 この作品は今日一般に「大地」と呼びならわされているが、正確には「大地」・「息子たち」・「分裂せる家」の三部作仕立てである。十九世紀後半から二十世紀に遷り変わる時期の中国。貧農王龍が物語の基である。私には、三部の中では「 […]