名著への旅

編集部イチオシの「名著」をご紹介します。

名著への旅

第38回『日本の思想』

 手元にある本書は2013年3月15日発行の第93版である。初版の刊行が1961年ということなので、約60年余りで93ほど版を重ねたことになる。現在、流通しているものは、はたして第何版だろうか。  1914年に生まれ、第 […]

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第37回『釜ヶ崎から 貧困と野宿の日本』

 大学生のころより現地に通い、自ら日雇い労働を体験し、今では野宿者支援を行っている著者による、日本最大の「寄せ場」「ドヤ街」である釜ヶ崎のルポルタージュである。国の景気状況に左右されてきた釜ヶ崎の歴史と現状から、日本の貧 […]

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第36回『古代ギリシャのリアル』

 なぜ本書を選んだかというと、著者・藤村シシンという人物に魅力を感じたからである。アニメ『聖闘士星矢』好きが高じてギリシャ研究家の道へ、という来歴もさることながら、本書からは「勉強は楽しい!」という氣持ちが溢れ出んばかり […]

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第35回『代替医療解剖』

 『フェルマーの最終定理』(2000)や『暗号解読』(2001)の著者であるサイモン・シンと、ホメオパシー研究者であるエツァート・エルンストが通常医療の代わりとして用いられている代替医療(ホメオパシー、カイロプラクティッ […]

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第34回『春にして君を離れ』

わたしがこれまで誰についても真相を知らずにすごしてきたのは、こうあってほしいと思うようなことを信じて、真実に直面する苦しみを避ける方が、ずっと楽だったからだ。  『春にして君を離れ』は、人生の節目に何度も読み返したくなり […]

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第33回『まなざしの地獄』

 「社会学をやっている」と言うと、「社会学って何をするんですか?」と毎回問われる。一言でいえば「できごとを他者や社会との関係から考える学問」だろうか。本書は社会学のお手本とも言い得る名著である。  本書の対象は1968年 […]

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第32回『陰翳礼讃』

 昭和初期に書かれた随筆である。便利な西洋の文明装置のコードやスイッチは、純日本風の家屋では目障りに感じられ、どのようにしたら調和させられるかと葛藤する様子から始まる。西洋と日本(東洋)の文明の発達、そして本質的な美意識 […]

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第31回『期待と回想』

 今年7 月20 日に亡くなった思想家、鶴見俊輔が対話を通じて語り起こした自伝である。晶文社より1997 年出された上下巻をまとめて文庫化したものである。  鶴見俊輔は多くの著作を残した。かれは純化し、体系化された「思想 […]

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第30回『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』

 数年前から、憲法記念日(を含む連休中)には日本国憲法を読むことにしている。  この本は、井上ひさし氏が、憲法の中でも「これだけは読んでおいてほしい」と思う前文と第九条を、小学生にもわかりやすいようにやさしい言葉にしてみ […]

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第29回『日本語は天才である』

 著者は数々の翻訳を手がけてきた柳瀬尚紀。かれが翻訳する上で駆使してきた、もしくは助けられてきた言葉遊びについての本である。  縦書き・横書き、漢字・ひらがな・カタカナ、読めない漢字にはふりがな(ルビ)を振る、といった表 […]

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第28回『新編 銀河鉄道の夜』

 「銀河鉄道の夜」は、言わずと知れた宮沢賢治の代表作である。しかし、実は作者生前未発表の作品であり、完成ではない。にもかかわらず、名作として謳われているのは、最も賢治らしさが出ている作品だからではないだろうか。  その世 […]

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第27回『風姿花伝』

 誰もが一度は耳にしたことがある書籍ではないだろうか。父である観阿弥とともに能を大成した世阿弥による、能の指南書、理論書である。  能の教えを説いた本であるが、その論の射程は芸能や芸術論に限られない。  かれの論を大づか […]

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第26回『はてしない物語』

 本そのものの魅力が詰まった一冊である。  表紙はあかがね色の絹で、動かすとほのかに光る。パラパラとページをくってみると、中は二色刷りになっている。小学生の頃、装丁に惹かれて母の書庫から引っ張り出したのが出会いだったと記 […]

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第25回『日本語ぽこりぽこり』

 エッセイは日常の微細な出来事に焦点をあて、読者に楽しく「振り返り」をもたらしてくれるが、本書はそうした営みを日本のみならず諸外国(主には米国)との往復を通して与えてくれる。このことは、筆者が「外国人」であって、日本語を […]

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第24回『土』

 長塚の『土』は、漱石が「余の娘が年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座がどうだのと言い募る時分になったら、余は是非この『土』を読ましたいと思っている」と褒め称えた農民文学の代表作である。  本著の特徴は、明治時代の農民 […]

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第23回『大阪弁ちゃらんぽらん』

 本書は「辞書」である。表題どおり、「大阪弁」の辞書である。「ああしんど」「あかん」「えげつない」など、テレビなどでもよく聞かれるものから、「あんだらめ」「あもつき」といった宮城ではあまり馴染みの無い言葉も含めて、計20 […]

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第22回『1984年』

 1984年4月4日  ウェリントンが日記に書いた、記念すべき一言である。  物資不足と絶え間ない戦争で荒廃しつつある1984年のロンドンは、厳格な統制が敷かれた社会。主人公のウェリントンは、真理省という役所で記録の改竄 […]

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第21回『読書と社会科学』

 「名著」とは何か、という問いかけに対して「古典である」と答えることができるかもしれない。「古典」は人々に読み継がれてきた書物であり、だからこそ「名著」である、と。  たしかに「古典」は「名著」たりうるかもしれないが、で […]

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第20回『足摺岬』

足摺岬 田宮虎彦 著 新潮社 日本文学全集35 より 1971年7月20日 初版発行  小欄での私の担当は今回で終了する。最後に、私自身がこの先も長く大切にしていきたい作品を取り上げることにした。  この集は、『落城』『 […]

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第19回『黄色い部屋の謎』

 ガストン・ルルーと言えば、『オペラ座の怪人』の著者としてご記憶の方も多いであろう。本作は1908 年の上梓で、創元社によると「密室ミステリの金字塔にして、世界ベストテンの上位に名を連ねる、名作中の名作」ということになる […]