『憑依と抵抗 現代モンゴルにおける宗教とナショナリズム』 島村一平 著 株式会社晶文社 2022年3月25日 初版発行 Amazon モンゴルと聞いて頭に浮かぶのは、(ステレオタイプとわかっていても)やはり「大草 […]
名著への旅
編集部イチオシの「名著」をご紹介します。
第65回『創造論者 VS. 無神論者』
『創造論者 VS. 無神論者』 岡本亮輔 著 講談社 2023年9月7日初版発行 Amazon 生物は進化を経て今の姿になったのか? それとも神によってあらかじめ設計されたものであったのか? 日本で教育を受けてき […]
第64回『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場』
2011年3月11日、津波による壊滅的な被害を受けた日本製紙石巻工場。 本著は、自らも被災し、工場閉鎖の不安を抱えながら、日本の出版文化を支えた人々の、復興への日々を真摯に聞き取った不朽のノンフィクションである。 石 […]
第63回『イスラム飲酒紀行』
書名を見て「???」となった人もいるのではないだろうか。「イスラム」と「飲酒」、珍妙な取り合わせの言葉である。本書は数々の紀行文を著してきた高野秀行による、アルコール禁止のはずのイスラム教国で酒を求めて奔走するルポルタ […]
第62回『暗獄怪談 憑かれた話』
本来、あまり怖い話は得意ではない。もちろん霊感は皆無、体験談も持ち合わせていないため、初めのうちはやや戸惑い氣味にページを捲った。しかも本書は「実話怪談」というジャンル。誰かの本当に体験した話と思うと恐怖も増す。あとが […]
第61回『他者と生きる リスク・ 病い・死をめぐる人類学』
コロナ禍において直面したことのひとつは、医学・医療のあり方と「エビデンス」なるものへの注視だろう。本書は、医療人類学を専門とする著者による、生と死、健康や科学といった事象を理解するのに最適な書物である。 二部構成であ […]
第60回『南相馬メドレー』
2012年3月から「南相馬ひばりエフエム」でパーソナリティを務めていた、芥川賞作家の柳美里さんは2015 年に南相馬市へ移り住み、地元の人々の声と言葉を届けていました。南相馬市小高区で、原発事故による避難指示が5年ぶり […]
第59回『動物と人間の世界認識 イリュージョンなしに 世界は見えない』
子どもの頃から「犬はなぜ他の犬を犬として認識できるのか?」と疑問に思っていた。人間は「これは犬、これは猫」と峻別しているが、犬に限らず動物は他の動物や個体を「これは犬、これは猫」と分けているのだろうか。ヒト以外の動物は […]
第58回『戦争のころ 仙台、宮城』
「戦争を知らない多くの人たちにとって、戦争とはどんなものなのか自ら知ろうとしない限り、遠い昔の出来事で終わってしまいます」「戦争は突然始まるものではなく、その前に国民を戦争に向かわせるための様々な仕掛けがなされる」(「 […]
第57回『悪循環の現象学 「行為の意図せざる結果」をめぐって』
人に好かれようと社交的に振る舞ったら「八方美人」と言われてしまう。早く寝ようと意識すればするほど目が冴えてしまう。このような、経験はないだろうか。 意図を持ってなされた行為が、その意図に反する結果を生むことを「行為の […]
第56回『象の皮膚』
著者の佐藤厚志さんは、デビュー前から密かに注目の書き手だった。仙台と山形で定期的に開催されている文学講座で、何作品か佐藤さんの作品を読む機会があった。その繊細な人物描写から作者の名前を見なくても佐藤さんの作品だと氣づい […]
第55回『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』
映画やドラマなどを見ていると、しばしば物を食べるシーンが出てくる。家族で仲良く食卓を囲んでいると、急に悪者が出てきて、団欒の場が凍りつく。悪者はテーブルをひっくり返し、食べ物が床に撒き散らされる。ああもったいない…。 […]
第54回『本を贈る』
作家(文筆家)、編集、校正、装丁、印刷、製本、営業、取次、書店員、本屋。それぞれ異なる持ち場で、「本」に関わることを生業とし、その仕事をこよなく愛す10人のエッセイ集である。 青葉区花京院にある「ボタン」という本屋さんで […]
第53回『民衆暴力 ― 一揆・暴動・ 虐殺の日本近代』
近代国家が「暴力」を統制し始めた一方で、民衆による権威への「抵抗としての暴力」は、魅力あるものとして運動家には捉えられてきただろう。鶴見俊輔などは、まさにその代表である。 本書の眼目は、民衆による暴力のこれまでのあり […]
第52回『市民のネットワーキング 市民の仕事術I』
出版社「カタツムリ社」、エコロジーショップ「ぐりん・ぴいす」、NPO法人「せんだい・みやぎNPOセンター」などを立ち上げ発展させた著者が、人との出会いや結びつき=「ネットワーキング」をどのようにつくっていたのかを余すと […]
第51回『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』
藤井聡太二冠の活躍が華々しく報じられ、またベテラン勢のタイトル挑戦が続くなど、将棋界は益々の盛り上がりを見せつつある。こうした近年の盛り上がりの裏で、ひとり病に苦しんでいた棋士がいた。羽生九段と同い年の、先崎学九段であ […]
第50回『日本史の謎は「地形」で解ける【環境・民族篇】』
ふとしたキッカケから、青空文庫で柳田國男の『地名の研究』を読んだことが機縁となり出逢った本である。地形と地名は切っても切れない関係にあるからであろう。「『地形』で解ける」シリーズ3部作の最後である。 著者は、1970 […]
第49回『ぼくは猟師になった』
近ごろ、イノシシなどの野生動物が都会に現れたとの報道がいくつかあった。それに対して「野生動物を殺さないで!」との声がいくらか上がった。「野生動物の住処を人間が奪ったのだから、かわいそうな動物たちを傷つける筋はあるのか」 […]
第48回『にじいろクレヨンが描いた軌跡』
石巻市内で子どもを対象にお絵かき教室を営みながら、創作活動をしていた画家の柴田滋紀さん(著者)は、2011年3月11日に起きた東日本大震災で自らも被災し、自宅を津波で失い避難所生活を余儀なくされる。慣れない避難所生活の […]
第47回『刑務所しか居場所がない人たち』
最近『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治、2019年、新潮新書)という書籍が話題になっている。いわゆる非行少年には一定数、認知に難のある子たちが含まれており、彼らに対する適切なケアの必要性を、自身の体験や印象を踏 […]