名著への旅

第28回『新編 銀河鉄道の夜』

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 「銀河鉄道の夜」は、言わずと知れた宮沢賢治の代表作である。しかし、実は作者生前未発表の作品であり、完成ではない。にもかかわらず、名作として謳われているのは、最も賢治らしさが出ている作品だからではないだろうか。

 その世界観や美しい文章も魅力だが、中でも独創的な表現が目を惹いた。例えば擬音など一読しただけでは理解しがたいが、何度か読み返しているうちに、自分なりに想像すれば良いのだということに氣付いた。想像する楽しみを、改めて知った思いである。

 次の台詞などは初見で記憶に残り、不思議と氣に入ったフレーズである。
 「それから彗星が、ギーギーフーギーギーフーて云って来たねえ。」

 宮沢賢治は詩人だが、同時に、教師、農業者、科学・天文学者、宗教家でもあった。「銀河鉄道の夜」には、そんな彼の思想や生き方・知識の片鱗が、至る所に散りばめられているのを感じるだろう。

 賢治作品は教科書で触れた人も多いかとは思うが、子どもの頃に見えなかった発見が多々ある「大人になってから楽しめる一冊」ではないだろうか。

(齋)
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