名著への旅

第23回『大阪弁ちゃらんぽらん』

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 本書は「辞書」である。表題どおり、「大阪弁」の辞書である。「ああしんど」「あかん」「えげつない」など、テレビなどでもよく聞かれるものから、「あんだらめ」「あもつき」といった宮城ではあまり馴染みの無い言葉も含めて、計20項目にかけて「大阪弁」が紹介されている。

この「辞書」の特筆すべき点は、これらの言葉の意味が、いわゆる国語辞典とは異なり、日常生活内での彼女なりの用法を「熊八中年」との対話を通じて編んでいるところにある。この対話が、また、それぞれの言葉の文脈や男女でのニュアンスの違いを、居酒屋の隣の席の雑談に耳を傾ける感じで、読み手に教えてくれる。

さてこの「辞書」は、大阪弁の辞書であるが、同時に田辺聖子自身の著作にとっての「辞書」である。取り上げられる言葉が、彼女の著作に頻出するものだからである。そういう意味で本書は田辺作品の副読本であると言える。本書と彼女の作品とを合わせて読むと、「方言」の地力を思い知らされる。

(寺)
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