日時 11月9日(土)10:30~12:00
講師 吉本豊氏(仙台赤門短期大学非常勤講師)
主催 学都仙台コンソーシアム 仙台赤門短期大学
場所 仙台市市民活動サポートセンター 6Fセミナーホール
講師は中国へ留学経験もある東洋医学:鍼灸の研究者です。還暦を迎えたとのことですが、聴講者には講師より年長の方も多く、健康に関する話題に興味津々のようでした。
講演は大きく鍼灸治療・東洋医学と快適生活の為の体の話に分けられます。
東洋医学では、氣・血・津液の正常な動きが滞ると病になると考えます。氣とは講師によれば情報だということです。脳と全身に張り巡らされた神経系統網を行き来するものです。特に脳と筋肉の間のつながりが重要です。筋肉に刺激があると脳の対応領域で認知され、身体情報となります。そして脳から縮める命令をだして筋肉を動かし対応しますが、筋肉は収縮しかしないので緊張が長く続くと血行も悪くなり、コリの原因ともなります。
若い時はオートマチックに筋肉の緊張が解放されるのですが、加齢に伴い、オートマチック機能が衰え、マニュアル操作しなければならなくなります。そのため、高齢者はこのことに留意して日常の生活を行う必要があるとのことです。
興味深いことは姿勢の違いによる腰への負担=椎間板の内圧に与える影響です。内圧は筋肉が縮まることによって高くなります。立ち姿勢を100とすると、仰向けに寝るのは25に下がります。一方、椅子に座っているだけでも140と上昇し、前傾したり、物を持ったりすれば150から200を超えます。確かに椅子やソファに座っているのも決して楽なことでもありません。座位のなかでもこたつ座りや長座は最悪です。筋肉は収縮して緊張しっぱなしです。長時間同じ姿勢でいると筋肉は疲労困憊します。股を閉じるのも腰によくありません。余談ながら日本の文化のお行儀姿勢は体に拷問を強いているようなものだと話します。
筋肉を硬くしない方法として、立ち姿勢では骨に体重を乗せる(正常立位)、座位では関節(膝など)は曲げることです。立ち上がるときは体を揺すってから立ち上がる、指を素早く動かして立ち上がる(脳の命令が変る効果)等に留意します。また、動き始める時は多くの関節を使い、かかとに重心をおかず、爪先立ちで立ち上がることがよいそうです。爪先立ちの訓練は転倒予防にも役立ち、ふくらはぎの筋肉を使うのでむくみにも効果があります。他に、男性のチョイ漏れの解消方法や痔の予防法として排泄時の肛門括約筋の緩め方などの話にも及びました。
いずれにしろオートマチックには動かなくなる体になってしまうのですから、高齢者は自分の体を上手にコントロールして動ける体を持続させることが大切です。私も首・肩から脚までほぼ全身のストレッチを毎日の日課とするなど、首・肩のコリや腰痛とつきあう日々を過ごしています。今日の話を肝に銘じておくことにします。