講師:東北文化学園大学 小野部 純 氏
日時:令和5年7月22日10:30~12:00
場所:仙台市民活動サポートセンター6Fセミナーホール
主催:学都仙台コンソーシアム・東北文化学園大学地域連携センター
定員50名の対面方式の講座です。平日の午前ということもあり高齢者が多く参加していました。おそらく、「脚は“第2の心臓”」の意味するところを理解している人は多いと思います。個人的には父が90歳を過ぎた頃から脚のむくみ症状がでて困っていたこともあり、身近な問題として関心がありました。
講師は大学で教鞭をとっている現役の理学療法士です。むくみが専門で、特にリンパ腫などによるむくみ治療についてドイツへ留学して国際的な専門資格を取得しているそうです。今回の講義の前半は、心臓の働きと体内の血液の循環器系、そして運動の効果の説明でした。後半はむくみ(浮腫)の原因とその対処法の話です。
身体各部では毛細血管を通じた水分の移動により体内細胞への栄養の供給と逆に細胞からの老廃物の吸収除去という働きが行われています。講師は血管から体内へでた水分は10%がリンパ管へ入り、残りの90%が再び毛細血管へ戻るという出入りの姿をポンチ絵にして解説します。この水分移動の量的バランスが崩れると細胞間の水分が増えてむくみの発生につながります。バランスを崩す原因には高血圧や血液たんぱくの減少、血管損傷、リンパ管の異常などがいろいろあります。むくみには症状が身体の全身か一部かによって原因や対処法は異なるので医師の診察を仰ぐことが必要になります。
むくみの対策としてつま先立ちや効果的な歩き方等の運動療法も紹介していますが、具体的な実施方法や効果に関する言及はあまりなかったように思います。むくみと運動の関係についてその改善効果や実践例等理学療法からの知見も紹介してもらえれば参考になったことでしょう。
インターネットを通じて情報を得ることは容易になった時代ですが、得られた情報の信頼性や読み取り方など素人には判断しにくいこともあります。このような情報をうまく活用するためには専門家のアドヴァイスが頼りになります。話し手が話したいこと、伝えたいことと聞き手が聞きたいこと、知りたいことの間には重なる部分もあればそうでない部分もあります。質問で引き出すという方法もありますが、聞き手が間口を拡げて幅広くくみ取ってゆくようにすれば新しい発見があるのかもしれません。(仙台市 島田昭一)