参加体験記

図書館 復興のあゆみ

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日時 令和5年3月4日(土)~5月28日(日)
場所 宮城県図書館展示室(2階)
主催 宮城県図書館

 東日本大震災から12年が経過し、記憶の風化に対する危機感も強くなり始めています。
 最近、被災地で医療活動に奮闘した医師たちの記録をまとめた「海棠尊監修 救命 東日本大震災、医師たちの奮闘」を読みました。医師たちの物語を読み進むと涙腺が緩む場面も多々ありました。被災地ではいろいろな役割をもって活動していた人たちが多くいます。マスコミでも多く取り上げられた自衛隊や消防、ボランティア等の人々の活躍は知られていますが、被災者の命と健康の問題に尽力していた医療関係の人々はどうだったでしょうか。その他、知られていない人々も多いことでしょう。

 図書館は住民にとって身近な公共施設です。リタイアした身にはとても貴重な存在です。月に1,2回は通う宮城県図書館の2階展示室では震災関係の企画展が催されています。展示室の一角を使用したスペースなのでそれ程多くの展示物があるわけではありませんが、氣付きを促されることもあります。

 今年も3月11日がきました。今回の展示では「図書館 復興のあゆみ」と題して、県図書館をはじめとした県内の図書館について震災による被害とその復旧、復興の経緯を紹介しています。建物が地震で壊れたり、津波で流されたりした図書館も相当数あることがわかります。そのような図書館では復旧の過程で、移転新築あるいは市民センターなど新しい公共施設の中に配置されて、市民への利用サービスが再開されています。県図書館は県内の図書館施設を支援する役割も担う立場にあるそうで、震災時には各市町村の図書館に対して支援活動を行っていました。県外の図書館からも支援があったようです。

 「救命」の医師たちの物語も同様ですが、図書館という切り口で捉え直してみることも震災を改めて知るうえでは意義深いことだと感じました。小スペースの展示でしたが、含蓄のあるふくらみを感じさせてくれました。今回は展示室に加えて、2階廊下の壁面も利用し、写真などを掲示していました。展示室に詰めていた女性職員の方から声がかかり、案内してもらいました。

 12年前に起きた各地の出来事、現場の事実について知らないことが多いものです。災害の記憶として、前述のようなことを新たに知ることも大切なことなのかもしれません。

(仙台市 島田昭一)

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