参加体験記

みやぎ県民大学 大学開放講座 ながれの科学

  • LINEで送る

主 催  東北大学流体科学研究所
開催日 9月2日、9日、16日、30日
会 場  オンライン講座

 コロナ禍のおかげで、自宅にいてもオンラインで講座や講演会を楽しむことができる時代となりました。今回は、東北大学流体科学研究所主催の「ながれの科学(全4回)」に参加してみました。金曜日の夜6時~8時の時間帯です。毎回の参加者は20名ほど(定員50名)でした。全4回のこの講座はみやぎ県民大学大学開放講座の一環ですが、県当局からはSDGsに関わる内容でとの注文があったそうです。

 第1回は航空機の話です。航空産業も飛行機の電動化やカーボンニュートラルへの対応が必要となってきており、今回の講座では、省エネ化のための軽量化材料(炭素繊維強化樹脂)の利用とその材料に適合した理想機体の構造設計技術の開発の話でした。琵琶湖の鳥人間コンテストで幾度も優勝している東北大チームはこの研究所の学生グループとか、渡り鳥の雁行は流体力学で説明できることを知りました。

 第2回はゼロカーボンを目指す新しい燃料、水素とアンモニア、その中でアンモニアの燃焼の課題を解決しようとする燃焼工学からの研究の話でした。燃えにくく、炎の燃焼速度が遅いなどアンモニアの燃焼上の課題を解決するための技術開発を進めています。

 第3回はエネルギー資源として外国に比べて利用が進んでいない地熱利用に関する話です。地熱発電に使用された温泉水を地下岩盤内に還元する還元井が必要となります。注入水が複雑な岩盤内で拡散浸透していく状況をトポロジーとフラクタルの数学を用いた新しいモデルで解析していく研究の話でした。

 第4回は体内のながれとして血流と呼氣の話です。新型コロナに関わる飛沫拡散対策検討のための萩ホール内の流れやマスクの効果の実験的検証、次に脳手術に必要となる血流の流れを解析する技術として数値流体力学による解析と解析時間を短縮するAIによる解析手法の開発の話でした。私流に要約すると以上のようになるでしょうか。流体力学は様々な分野を対象として用いられています。航空機、岩盤内の水の流れ、飛沫拡散や体内の血流はながれ現象とすぐに想像できますが、燃焼はすぐには結びつきません。層流・乱流というなつかしい用語がでてきた炎の説明を聞いて納得です。配布資料もあり、後で確認が出来ます。配布資料がない場合、メモと記憶だけが頼りになるので確認は覚束なくなるかもしれません。

 ともあれ、新しい知見、知識の習得に切掛を提供してくれた研究所の方々に感謝します。身勝手な希望を述べれば、講義の時間帯(昼間時間に開講へ)や資料の事前配付(Webでも)などに配慮していただくと高齢者にもやさしい開放講座となるように思います。

(仙台市 島田昭一)

  • LINEで送る