参加体験記

口の健康は長寿社会の要の話

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学都仙台コンソーシアムサテライトキャンパス公開講座
「口の健康は長寿社会の要の話」

講師:小関健由氏(東北大学大学院歯学研究科 教授)
日時:2021年11月27日(土)
場所:オンライン開講

 zoomによるオンライン講義は口、歯に始まる身体の総合的な健康話でした。

 「口は何のためにあるのか?」という問いから始まります。対面講義では受講者に回答を求めるそうですが、今回それはできず、話を続けます。口には、美味しく食べる(食べる・味わう)、楽しくおしゃべりする(話す)、心から大笑いする(笑う)、いつまでも美しく(整容)という 4つの役割あり、口の健康は生涯の宝物だと説きます。が、3,4番は理解に時間を要します。

 日本人の歯の本数は、高齢者でも20本以上持つ人が年々増えており、2017年時点で約半数いるそうです。8020運動の成果ともいえます。20本の根拠は、21本以上あればたくあんやスルメなど固い食品も食べられることを踏まえ、語呂が良いので20本にしたとのこと。ですが、野菜等の食物繊維を噛み砕くための奥歯(臼歯)が1本抜けただけでも噛む力は2/3に低下します。噛む力の低下が高齢者の食欲・摂取量低下、それが生活機能の低下につながり、ひいては健康寿命を損なうことになります。

 歯が抜ける原因には、むし歯、歯周病、その他(割れる等)の大きく3つあり、成人では歯垢に起因する歯周病が増えます。ここで「歯垢とは何か?」と再び問いがでます。歯垢はほぼ100%細菌です。780種類もいて、消化管の出口に当たる大腸の内容物と同じくらい濃いということです。さらに肝腎なことは歯垢をためると多くの病氣を引き起こし、口腔内だけでなく細菌が移動して全身の病氣にも影響することです。

 歯垢除去、むし歯予防には、歯磨き、フッ化物の応用、砂糖摂取等の食生活の見直しがあります。ジュースや炭酸飲料などに含まれる多量の砂糖に警告を発します。WHOの摂取量の目安、成人1日白砂糖30gに対して、ペットボトルのジュースでは350ccでも35g含まれ、いかに多いか具体的に解説します。

 歯磨きの説明では理解しやすいように動画なども使われています。通常の歯ブラシでは歯の表面の半分しか磨けず、歯間や歯のみぞの歯垢除去は難しいことから歯間ブラシの使用などを推奨します。

 歯の健康は手術を行うときにも影響します。歯に問題があると手術は延期され、まず歯の治療から始めることになります。歯の病氣が無ければ傷の治癒が早くなり、入院期間も短くなることがデータ上明確になっているそうです。手術の前にも後にも歯科での治療が必要と強調します。東北大病院では医科と歯科が連携し、入院患者の医療ケアを進めているそうです。いずれにしろ、日々の歯、口腔内の管理が不可欠です。年に数回は歯科でしっかりメンテナンスが重要と説きます。

 舌や唇の感覚は指と同じかより敏感ということですし、口を使うことは脳を活性化します。私も高齢者4年目となりますが、大きな持病はないものの、加齢による身体の不具合はあり、歯科など2,3の病院通いをしています。長寿国日本でも健康寿命との差は約10年ぐらいあります。この差をなんとか短くできるよう口の健康にも留意し、過ごしていきたいと思う今日この頃です。

(仙台市 島田昭一)

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