平田オリザ特別講演会&ワークショップ
主催:PLAY ART!せんだい、公益財団法人仙台市市民文化事業団、仙台市
講師・ファシリテーター:平田 オリザ 氏
日時:2020年11月3日(火・祝)
ワークショップ 10:30〜12:30
講演会 13:30〜15:30
場所:宮城野区文化センター・パトナシアター
11月3日に宮城野区文化センター・パトナシアターで行われた、「平田オリザ特別講演会&ワークショップ」に参加してきました。演劇教育をどのように学校教育に取り入れるか、ということを長年続けられてきた方ならではのお話をたくさん聞くことができました。
ワークショップでは、男子と女子が分かれてしまう、いつもの仲間で固まろうとする、というような教室内で起こりがちな状況を念頭に、既存の壁を自然に崩すようなアクティビティを体験しました。何氣ないように見えて、緻密に考えられたお題や、アクティビティの順序に、構成の重要性を感じました。「宮城県といえば」という質問に対して、宮城県民が持つ答えと、宮城県外の人が持つイメージに差があるという例では、多面的なものの見方、価値の多様性はごく身近なものごとにもあるのだと氣づきました。また、ファシリテーターとして自分自身が知見を広く持っているお題で、参加者一人一人と少しでも言葉を交わしながら場を進めていく、というようなテクニックについても、学ぶことができました。
講演会では、実際の小、中、高校、大学などでの実践の例から、演劇教育はホームルーム活動だけでなく、様々な科目において、ものごとを深く掘り下げて考えていくための手段として有効であるということを知りました。実際にリアリティを備えた演技を行うためには、思い込みで補うことなく、徹底的に事実を観察すること、それぞれの立場での行動の背景を掘り下げることが必要になることから、自ずと扱う対象を深く考察していくことになる、ということを学びました。また、教科書的な正解をそつなくこなすよりも、様々なイレギュラーを包含した舞台づくりをしたほうが、結果的に楽しいということがわかり、生徒のモチベーションにつながっていくのかな、と思いました。
価値観が多様化する社会において、異なる背景を持った人が、なぜその行動をしたのかを理解する力。容易には理解し合えないからこそ、言葉を重ねて、建設的な妥協点を見つけながら生きていく力。そのようなものを少しでも身につけられるような学校教育を実践していきたいと、プログラムを通して感じました。
(仙台市 たぬきのこ)