オープン・リサーチ・センター公開講演会
「ギリシア」後のギリシア~帝国支配下のアテネ~
講師:桑山 由文 氏(京都女子大学文学部 准教授)
小林 功 氏(立命館大学文学部 准教授)
日時:2010年12月4日(土)15:00~17:30
場所:東北学院大学土樋キャンパス8号館5階 押川記念ホール
『ギリシア』と言えば、神話は勿論、世界史では紀元前3~1世紀のヘレニズム文化などもお馴染みでしょう。
この公開講演は、そのような一般的に史実として語られている『ギリシア』以降のギリシアは一体どういう変遷を辿ったのか?というものでした。
個人的にギリシア史に対してもっと勉強したいというのと、そもそも“「ギリシア」後のギリシア”とは何ぞや?と思うところもあったので今回のイベントに参加させて頂きました。
当日は枯葉が舞うどころか吹き荒び強風警報も出るほどの天候で、新幹線も運転を見合わせ講師の先生の到着が遅れるというトラブルが。
順序は変わってしまいましたが、後半に講演予定であった小林先生が導入部分の説明も兼ねて講演を始めることに。
小林先生は中世以降のアテネについて、桑山先生はローマ帝国時代のアテネについてお話をして下さいました。
今回の講演における『ギリシア』後のギリシアとは、ポリスが隆盛しパルテノン神殿が建設されたりといった所謂”黄金時代”以降、他国に征服され属州となって以降のことだったのです。
お二人の先生方によると、現在の観光名所となっているようなギリシャ文化圏は、「ローマの要素がとても強いギリシャ(桑山先生)」「ビザンツの理想と古典ギリシャの理想が混在している(小林先生)」ものだそうです。
アテネをギリシア文化圏の中心地として復興させようとした歴史上の偉人達は、「自らの憧れの具現化」として「古代ギリシア」を描きギリシア的な復興を望んでいたけれども、それは「ローマ風ギリシア」と融合し、結果それは「ギリシアとローマのあいのこ」のようなものになってしまった…と。
自分はもっぱら図版を読み漁るような、海外なぞつい行ったこともないような輩なのですが、参加者の中にはどうやら実際に現地を見てこられた方も多く居るようで、思い思いに考えを巡らせているように見えました。
ですが、事前に用意して下さっていたレジュメを見ながらの講演だったのと、講師の先生方が面白可笑しく話して下さったので、難しいテーマかと思えた講演は余り構えずに自然に聴くことが出来ました。
参加者の多くはご年配の方々だったのですが、先生方のお話に笑いを溢したり、一緒に参加されているのであろう方と意見を交わしたりといった様子が見られ、静かではありましたが始終どこか和やかな雰囲氣でした。
高校以来の世界史だったのですが、大筋を含め専門家の口から様々なお話が聞けてとても良い機会になったと思います。
社会人になっても勉強する機会が得られるというのは幸せなことですね。
もし現地に行けるような機会に恵まれたら、今回の講演を思い出して独りごちようと思います。
(仙台市泉区 佐伯悟)