参加体験記

『猫の画家』長谷川潾二郎

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まちなか美術講座 「『猫の画家』長谷川潾二郎」

講師:加野 恵子 氏(宮城県美術館学芸員)
日時:2010年12月18日(土)13:00~14:30
場所:東北工業大学一番町ロビー

 まちなか美術講座の第14回「高山 登が追求する造形」に参加して以来、久しぶりの参加となりました。猫好きで参加された方もちらほらといらっしゃったようで、講師の加野さんから「猫の画家といっても代表作が『猫』という作品なのであって、猫の絵ばかりを描いている方ではないんです。猫の絵が沢山見たくて参加された方はごめんなさい」と和やかな前置きがありました。「けれどもせっかくなので」ということで、冒頭は猫をモチーフに作品を作ったアーティストたちの紹介から始まりました。
 長谷川潾二郎の代表作「猫」が描かれたエピソードは面白いものでした。モデルとなった長谷川の愛猫タロウはちょうど良い氣候の春秋でないと作品のような寝そべり方をしてくれなかったそうです。その上長谷川はモデルを目の前に置かずには絵を描けない画家だったので、「猫」の作品はタロウが天国にいってしまうまで、何年もかけてじっくり描かれたのだそうです。このエピソードを聞いて作品「猫」から感じられる魅力の正体は、長谷川のこの絵に対するこだわりと、タロウへの愛情なのではないかと思いました。
 「作品へのこだわりとモデルに対する愛情、費やした年月が魅力的な作品を作る」というのは当たり前のように感じがちですが、今回講座で聞いたようなエピソードに触れると、なるほど、と納得させられるものがあります。魅力的な作品に出会った時、その作品が生まれた背景を覗いてみるのもより深く鑑賞する方法の一つでしょう。ただ作品を眺めるだけでは解らなかった情報を知ることの大切さに氣付いた講座でした。まだまだ芸術に対する知識の浅い自分ですが、このような講座に参加したり調べものをしたりして、愛着の持てる作品に出会って行きたいと思います。

(仙台市若林区・女性 爛漫)

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