<まちなか美術講座> 「21世紀魔女」岸本清子
講師:三上 満良 氏(宮城県美術館学芸員)
日時:2011年2月26日(土)13:00~14:30
場所:東北工業大学一番町ロビー 4Fホール
岸本清子(さやこ)は、自ら21世紀魔女と名乗って過激なパフォーマンス活動を行った前衛美術家です。大学では、日本画を専攻していましたが1960年代に活動を始めたネオ・ダダ・オルガナイザー(略称ネオ・ダダ)への参加が、その後の人生を変えたようです。ネオ・ダダは、廃材などを使って表現活動を行った前衛美術家グループの集まりで、その当時の記録写真を見ると過激さが伝わってきます。岸本清子は、そのなかでも唯一の女性アーティストで男性に負けず劣らず個性的な作品を発表していたそうです。その後は、一時活動を休止し1980年代に入ってから21世紀魔女宣言して街頭やステージで主義主張を訴えながらパフォーマンス活動を始めました。
解説によると魔女宣言の内容は、難解すぎるようで実は単純明快なことを言っているのではないかということでしたが、自分には理解しがたいのが正直な感想です。パフォーマンス活動が目立ちますが、絵にも強い個性が表れ、空飛ぶ猫シリーズは、共通して猫の目から光線のような光が発せられ、これは目力を強調しているようです。また、レオナルド・ダ・ヴィンチの構図を借りた最後の晩餐は現代文明を諷刺したもので屏風絵になっているのが面白く日本画を専攻した岸本らしい作品と言えるでしょう。紹介された作品を見て実に作品の幅が広いことが分かりました。
最後に、講座では1983年に雑民党から参議院選挙に立候補した時の政見放送の映像が流されました。主張する内容は、やはり難解な部分もありますが一つ一つの言葉には魂がこもっているような力強さがあり、これが過激なパフォーマンスを生んでいるエネルギーだと感じました。晩年は、癌と闘いながら最後まで病床で描き続けたアーティストとしての情熱には感心しました。
東日本大震災で体験記を書くのを諦めましたが、ある時部屋の掃除をしていたら岸本清子の企画展で買った図録が見つかり、これは書かねばと思い今に至りました。
(仙台市泉区・男性 H.M.)