<多賀城跡史跡巡り> 多賀城廃寺跡コース
講師:柳沢 和明 氏(東北歴史博物館上席主任研究員)
日時:2011年6月12日(土)13:30~14:30
場所:東北歴史博物館
昨年の「まなびのめ」で見た、多賀城跡調査50周年の記念フォーラムに出てみたかったのですが行けなかったので、今回ホームページで見つけたこのイベントに参加してみました。
コースにはもうひとつ「多賀城政庁跡コース」というのがあるのですが、一番直近にあったのがこのコースでした。集合場所のエントランスホールに集まったのは、わたしを入れて15名でした。やはり歴史好きな方が多かったようにお見受けしました。
館で簡単な説明を受けてから外に出て、皆で坂を登り多賀城廃寺跡へ。木立を通って来る風が爽やかでした。まず中門と講堂を連結する築地塀痕から。当時、塀を乗り越えるという行為は重大な犯罪行為とされ、これを犯すと笞(ムチ)打ち60回の刑に処せられたそうです。この築地塀の中の東側に三重塔、西側に金堂が向かい合って立つのが最大の特徴で、この伽藍配置を「観世音寺式」というそうです。普通の寺院では塔と金堂が共に南を向いて配置されているので珍しいのです。いろんな研究の結果、塔は23.8mもの高さだったと推定されています。ここに今も残る礎石―この上に柱を立てた―は創建当時のもので、1300年隔てた遺跡の上で、小学生中学年らしい男の子3人が遊んでいたのは、いかにも史都多賀城にふさわしい光景でした。時間となって館に戻る途中、今回よく耳にした貞観11(869)年の津波のことにも触れられ、この多賀城城下も大きな被害に見舞われたことが『日本三代実録』に出ていることを聞き、改めて自然の威力に驚いた次第でした。
敷地内にある「今野家」―昔の肝煎りの屋敷を移設してきたとか―の懐かしい風情も楽しんで帰って来ると、人工池のアシ原のヨシキリが、その賑やかな声で私たち一行を出迎えてくれました。
(宮城郡利府町 足津 岬)