編集部だより

「東北大学病院記者懇談会」に行ってきました。

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少し前になりますが、7月1日に開催されました「東北大学病院記者懇談会」に参加してきました。昨年度からお誘いいただくようになったのですが、「まなびのめ」が市民向けメディアとして認知されているのだな、と感慨深いものがあります。

さて、今回の内容は、冨永悌二・新病院長による東北大学病院運営方針の概略説明からスタート。体制としては、看護師長さんが経営・患者サービス担当の副院長として位置づけられたことが特徴的のようです。<「患者さんに優しい医療」と「先進医療」との調和を目指した病院>を基本理念に、今年度は「新たな価値の創出」として、「新規医療」(白内障の日帰り手術が可能となるデイサージャリーセンターの開設と遠隔医療・個別化医療の推進)、「次世代医療」(東北から発信する医療イノベーション、医療用AIの開発・教育)の2つの柱を掲げています。

つづいて、「個別化医療」の実践として、「がんゲノム医療」のお話を、腫瘍内科の石岡千加史教授、城田英和准教授、小峰啓吾助教からお聴きしました。「個別化医療」とは、患者さんの状態や価値観にまで配慮した医療を行う「人に優しい医療」とのこと。ゲノム解析によって、より効果の期待できる治療法を選んでいく、ということにもつながります。たとえば、「イレッサはEGFR遺伝子に変異がある人には効く」ことが判明しているので、まずEGFR遺伝子の変異の有無を調べて、ある人には投与、ない人には投与しない、と個別に分けることによって、治療成績も大幅に向上するとのこと。ゲノム情報を調べる「がん遺伝子パネル検査」は自由診療では月数件ほどだったそうですが、保険診療になると毎週数十例の検討が必要になる見込みだそうです。それでも、まだ全員が個別に自分に合った医療が判別できて選べる、という段階ではない、とのこと。今後の研究の進展に期待したいところです。

最後に、まさに当日開設されたばかりという「嚥下治療センター」の説明が、耳鼻咽喉・頭頸部外科の香取幸夫教授、加藤健吾講師、顎顔面口腔再建治療部の小山重人教授からありました。嚥下(食べ物を飲み込む)障害は、加齢でなりやすくなるとともに、病氣やケガ、歯がなくなるなども増加の要因となります。2011年以降、日本の死亡原因の第3位は「肺炎」ですが、高齢者肺炎の多くは「誤嚥性肺炎」だということで、嚥下治療の重要性から、この度「嚥下治療センター」を立ち上げた、とのことです。誤嚥性肺炎は、食物の残りなどから発生する細菌などを誤嚥することで発生するため、口腔ケアがとても大事、ということで、東北大学病院の嚥下治療センターは、耳鼻咽喉・頭頸部外科、リハビリテーション科のほかに歯科3科が充実した連携をとっていて、それが特徴でもあるそうです。

医学・医療の最先端的なミニレクチャーのようなお話を伺えて、とても「学び」がいのある時間でした。「まなびのめ」誌面上ではなかなか紹介するスペースがないので、どうしようかと思案しておりましたが、Web版の「編集部だより」で概略ながら紹介することができ、ほっとしております。

資料で配布された東北大学病院広報誌「hesso(へっそ)」23号に、前述の石岡教授が「医者も患者になるんです」のコラムを寄稿されていました。難しい手術ではないと聞いていても実際手術前には相当な不安がある、という体験から、より患者さんに寄り添った応対を心がけているとのお話に、「人に優しい医療」の根底にある「先生方の優しさ」を感じるものとなりました。
正しい情報を得て、納得・安心できる医療を受けるためにも、遠慮せず臆せず、先生方と率直な話ができるようにしていけるとよいですね。

「まなびのめ」編集部 川又進

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