かたりつぎ 竹下景子 朗読と音楽の夕べ
講師:今村 文彦 氏(東北大学災害科学国際研究所副所長 教授)他
日時:2013年3月1日(金)17:30~20:10
場所:東北大学川内萩ホール
「まなびのめ」第19号で、所長の平川新先生の公開取材記事を掲載させていただいたので、東北大学災害科学国際研究所主催のこの大イベントでも、ぜひ「まなびのめ」を参加者に配っていただきたい、とお願いしたところ、担当の柴山明寛先生にもご快諾いただき、多くの方の手に「まなびのめ」が渡ることになりました。
イベント自体もとても興味をひかれるものでしたので、参加申し込みをして、当日会場へ。あいにくの天候の中、多くの参加者がつどいました。
冒頭、今村先生からこの2年間の調査・研究をもとにした講演と、柴山先生から東日本大震災に関するアーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」のとりくみ、今後の「かたりべ育成」プロジェクトの紹介など、きっちりと学術的なお話もありましたが、あえてそこは短時間で、という様相。その後の合唱(仙台南高校合唱部+OB/OG)、山元町で被災した早坂文明住職(曹洞宗・徳泉寺・徳本寺)の法話、そしてメインイベント・竹下景子さんによる被災者体験談の朗読にたっぷりと時間をかけた内容です。
合唱も、法話も、チェロとピアノの生演奏と相まった朗読も、その全てがホントに心に響くものでした。なんとなく2年経ってしまい忘れかけていた当時の氣持ち、今になって初めて知る被災地の現状など、様々なこと、想いが、頭と胸を巡ります。
講義・講演で「大事なこと」を知識として得ることも大切ですが、感性・感情が揺さぶられることも、「忘れない」ためにはとても重要に思えます。先生方の想いも、表面的に調査・研究の成果を市民に伝えればいい、ということではなく、今回のことをしっかりと教訓化し、学術的な裏付けをもってかたりつぎ、避けては通れない「次の自然災害」に際して犠牲者を出さないように、という切なる願いなのだと強く感じられました。
「学術の世界と市民をつなぐ」には、このような「総合芸術」ともいえる伝え方が大いに有用と思えました。「まなびのめ」Live版でも参考にしたいなあ、などと思いつつ、心地よい夕べを味わうことができました。ありがとうございます。
(「まなびのめ」編集長 川又進)