編集部だより

のぼる、のぼる……。

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 このところ某テレビ番組の人氣もあって、「ブラ〇〇」と銘打ったイベントや催しが各地で盛んなようです。段差、水路、眺望、道路の交差など、その土地土地に特徴的な地形や歴史的な背景を、実際に歩いて確かめながら学ぶ、というものです。最近ある一つの出来事から、ささやかながらその一端に触れる体験をしたのでご紹介します。


 これは私の地元のあるトンネルです。9月中旬に、地元で一番高い山へ登りに自転車で出かけた帰り、初めてこのトンネルにさしかかりました。実はここにたどり着くまでは、大小の登り坂の連続で漕ぐことも出来ず、自転車を押してへとへとになっていました。この辺から登りが若干平坦になったようなので、再び漕ぎ出しましたが、疲労感がまだ大分残っていて、数回漕いだだけでそのままにしていました。
 

 その時の位置付近から見た光景がこれです。私は「これは上りだ」と判断しました。A、B2枚の写真からは、たぶん、皆さんも同じではないでしょうか。


 ガードレールも斜め上方に向かって伸びています。もうそろそろ止まる頃だろうと身構えていると、ゆっくりとではありますが、止まることなくゆるゆると登って行くではありませんか。おや、これは小さい頃テレビで見た、ボールが上り坂を転がっていくアレではないか!!、それとも、地勢・地形的な要因でトンネル内に強い風力が発生していて、追い風になっているのかな、とも思いました。結局向こうの出口まで一度も止まることなく、登り切りました。
 それからしばらく氣になっていたのでネットで調べてみたら、このトンネルの長さは全長1,107メートル。もしかして、同じような体験をしている人がいるかも知れないと思いましたが、いないようでした。
 また、上り坂が下りに見えたり、その逆だったり、世の中には「おばけ坂」、「幽霊坂」あるいは「ミステリー坂」と呼ばれる不可思議な坂があり、学術的には「縦断勾配錯視(じゅうだんこうばいさくし)」と言うことも判りました。

http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saka2.html

 乗りかかった船で、好天の昨日曜日、改めて自転車で今度は逆の方から入って行こうと検証に行きました。上の写真はその時撮ったものです。結果、こちらの方からは間違いなく上りでした。すなわち、9月の時には下り坂を上り坂と錯覚していただけなのでした。トンネル内という暗さもそれに拍車をかけたのかも知れません。

 普段何氣なく暮らしている地元の街にも、興味ある要素の潜んでいることが実感として理解出来ました。「ブラ〇〇」が流行るのも大いに頷けます。郷土や故郷を新たな視点で見直す氣運がますます盛り上がれば、とても素晴らしいことだと思います。

「まなびのめ」編集部 佐藤 曜
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