編集部だより

将棋、はじめました。

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 昨年度の将棋界は藤井聡太六段の快進撃や加藤一二三九段の引退、羽生善治竜王の国民栄誉賞受賞など、とにかく話題に尽きませんでした。
 と書き始めるとまるでわたしが将棋ファンであるかのようなのですが、正直なところ、これまで全くと言っていいほど将棋に興味を持つことのない人生を送ってきました。
 しかし、そんなわたしも将棋界の盛り上がりに感化されて、将棋に興味を持つようになりました。いまでは、ネット配信される対局中継をラジオ代わりに流したり、詰将棋の本を買ったりするなど、にわかに将棋めいてきました。
 さて、なぜわたしがこうも将棋に興味を持ち始めたのか、ということを考えてみますと、それは「なにがすごいかよく分からないから、知りたい!」という動機につきます。羽生さんや加藤さん、藤井さんがすごい、ということは将棋を知らない人にとってもなんとなくわかるのではないかと思います(わたし自身もそうでした)。ただ、そのすごさの理解が、ずぶの素人であるよりも将棋ファンの人のほうがより深く、深く理解できたほうがかれらの活躍の報道をより詳しく楽しめるのではないか、との考えにいたりました。そして、報道や対局をより楽しめるようになりたい、と思った結果、すこし将棋を勉強してみよう、となったわけです。

 先日TVで「データサイエンティスト」という職業があるということを知りました。いわゆるビッグデータを活用して新しいビジネスやサービスを提案する仕事だそうです。わたしが見た番組では、膨大なデータをコンピュータを使って分析するそうですが、人間にはなぜその解析結果になるのか理解できない提案を、しばしばコンピュータがする、とのことでした。その結果、機械的には最適解だが人間には不可解で不氣味なので、分析結果を採用しないということもあるそうです。
 ようするに、人間は自分で理解できなかったり、納得できないものはあまり支持しないということのようです。
 研究者が学術研究する作業は、基本的には「わからないものを理解し、わかるように説明する」という営みです。そして、わたしが将棋の勉強をしてみるのも、研究と同じ作業ではないかと思っています。それはつまりいろんなことについての知識を増やすということです。知識が増え、わかることが増えることの楽しさは格別です。
 しかし「教育者」としては、わかることの楽しさをどう学生に伝えるのか、ということが非常に難しいところではありますが。

「まなびのめ」編集部 寺田征也
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