編集部レポート

東大寺と東北 ―復興を支えた人々の祈り―

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東日本大震災復興祈念特別展「東大寺と東北―復興を支えた人々の祈り―」
記者発表会、プレ講演会「東大寺における復興の歴史」

講師:狭川 普文 師(華厳宗管長・第222世東大寺別當)
日時:2018年1月31日(水)
場所:東北歴史博物館講堂

 東北歴史博物館にて4月28日(土)~ 6月24日(日)に開催される東日本大震災復興祈念特別展「東大寺と東北―復興を支えた人々の祈り―」の記者発表会とプレ講演会に「まなびのめ」として参加してきました。

 記者発表会では、多賀城市と奈良市は友好関係にあり「東大寺の歴史と復興の道のりが、東日本大震災からの一日も早い復興を願う東北の『未来への道しるべ』になりうる」ということで東大寺の特別な協力を得て東北で初めて国宝17点、重要文化財25点を含む東大寺の寺宝や史料が一堂に会す運びになったと説明がありました。

 中学校あたりで学んだ歴史では、東北は長らく影が薄いイメージがあるのですが、実は東北と東大寺との関わりは古く、東大寺の廬舎那仏(るしゃなぶつ)造営時には陸奥国小田郡(現・涌谷町)で産出した金が使用され、平安後期にあった戦火からの復興時には平泉の奥州藤原氏の砂金が注目され、大勧進(かんじん)・重源上人(ちょうげんしょうにん)の依頼で西行法師が奥州に赴いた記録があるとのことでした。

 プレ講演会「東大寺における復興の歴史」では、狹川普文師のテンポのよい話が面白かったです(関西のノリ、という感じで)。東大寺の創建、主な被害や修理事業について年表で確認し、2度の戦火での焼失、落雷や地震など天災による被害、そしてそのたびに復興してきたことが語られました。
 東大寺が聖武天皇の発願で創建されたことや、光明皇后により全国に施薬院が設置されたことはご存じのとおりですが、≪従来の「官」による一方的な事業ではなく、一般の人々の知識・協力を得て「みんなで作った」から、災害にあっても「みんなで直す」ことで再興・修理し、現代まで続いている≫というお話が印象的でした。

 4月28日(土)にも狹川師が講師を務める講演会が開催されます。読者のみなさんも、たいへん楽しい講演を聞いてみてはいかがでしょうか。その他にもワークショップやコンサートなど関連イベントが多数開催されます。東大寺のミュージアムがほぼ空になるほどの点数が集まるという貴重な機会ですので、(関連イベントは申し込み期限や定員など事前にしっかりチェックして!)ぜひ興味のあるものにご参加ください。

「東大寺と東北」展 公式サイトはこちら

「まなびのめ」編集部 三上志穂

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