第38回日本鉄バイオサイエンス学会学術集会
市民公開講座「貧血~予防と治療のポイント~」
講師:藤原 亨 氏(東北大学大学院医学系研究科血液免疫病学分野)
鈴木 文子 氏(東北大学病院 薬剤部一般病棟業務II室長)
岡本 智子 氏(東北大学病院 栄養管理室長
日時:2014年9月7日(日)13:00~15:00
場所:仙台国際センター 3階 白橿1
医師、薬剤師、栄養管理士の3視点から貧血に迫る充実した講座でした。メモをしている参加者が非常に多く、関心の高さが窺えました。。
まず血液そのものについて簡単に説明があり、健康診断の結果通知表でよく見かけるけど謎の存在だった「ヘマトクリット値」を理解するまでに成長しました。
それから本題の貧血へと話は進み、「貧血とは血液中のヘモグロビン濃度が基準値(男性13g/dl、女性12g/dl)未満の状態」を指すと教わりました。これまで、めまいや立ちくらみ、低血圧も貧血だと勘違いしておりましたので面食らいました。
貧血にも様々な症状や原因があるそうですが、今回は貧血の約70%を占めるという鉄欠乏性貧血が中心でした。20~50代女性の10~20%が鉄欠乏性貧血で、人口にすると200~400万人にもなるそうです。鉄欠乏性貧血のメカニズムについて、①通常の食事に含まれる鉄は20mg程度で、そこから体内に吸収される鉄は1~2mgとごくわずか。②多くの鉄は体内でプール(貯蔵鉄)された上で循環している。③月経やどこかしらの疾患に伴う大量出血によりプールの水位が下がると貧血になる。これらを、図を用いて分かりやすく説明していただきました。それまで貧血と診断されたことがなかったのに中高年で急に貧血に陥った場合は、胃がんや大腸がんなどの疾患による出血の可能性もあるそうです。
その後、鉄剤と他の薬や食品との飲み合わせ、鉄の多い食品や食事バランスなど具体的な鉄との付き合い方の説明がありました。
先生方のお話で共通していたのは、「鉄を無理せず継続的に摂る」ということでした。薬剤にしても食事にしても、自分に適した形やタイミング(食前の方が効果の高い薬剤でも、それで氣持ち悪くなる場合は食後に飲んでも良いなど)で続けていくことが大切だということです。講座を受けた日の夜は、主菜と副菜のバランスを意識して鉄が摂れる食事をしました。これから継続していくことが重要ですね。
(仙台市 K・T)