参加体験記

東日本大震災による海洋生態系の変化と
漁業関連産業復興

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復興大学公開講座
「東日本大震災による海洋生態系の変化と漁業関連産業復興
-豊かな海へ、科学の力で-」

講師:木島 明博 氏(東北大学大学院農学研究科 教授)
日時:2015年2月14日 (土) 15:30~17:30
場所:TKPガーデンシティ仙台 ホールD

 木島先生は東京出身ながら、夏休み中お母さんの実家・福島県浪江の海で過ごした少年時代が、海の生物の研究に進む素地となった、とのことで、東北とくに福島の海には強い思い入れがあるんです、という話の冒頭から、終始フレンドリーな話しぶりに、私を含む聴衆は引き込まれていきました。
 震災の被害は、同じ湾の内外でも状況は異なるものの、「沿岸部」と一括りに見られてしまうところがあります。本当のところはどうなのか、科学の力で、事実に基づき統合的な情報を発信する、どうしていけばよいかの提言も出そう、という想いで、木島先生の東北大学を代表機関に、東京大学大気海洋研究所、海洋研究開発機構の3者で立ち上げたのが、東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」(英語名の頭文字をとって略称TEMS)であるとのこと。
 様々な調査・研究の中で、山元町のホッキ貝漁において、GPSで漁場を特定し、噴流式貝桁網を用いることで、大型瓦礫により従来型の貝桁網では漁ができなくなったことを克服できそうという話題などは、地元紙にも取り上げられ、多くの方に希望を与えるものになっています。質疑応答の中でも参加者の女性から「これまで他県産ばかりだったのが、最近宮城県産のホッキ貝を買えた。先生の研究・調査のおかげです」と喜びの声が。
 また、次世代につなぎ、持続可能な漁業をサイエンスの力で提示していきたい、という先生の想いも語られました。実際に、女川の中学生に向けた総合学習の取り組みを通じて、後継者としての誇りが高まるなどの変化もみられるとのこと。
 一番前の席で熱心に話を聴いていた女子高校生に、講座中何度も声をかけ、「海の研究は楽しいよ。一緒に研究しよう」と誘う場面もあり、「研究者の次世代」も強く意識しているんだなあ、と感じました。
(若林区・漁師の娘の夫)
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