名著への旅

第39回『一市民の反抗-良心の声に従う自由と権利』

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 1846年7月下旬、当時コンコード郊外のウォールデン湖畔で暮らしていたヘンリー・D・ソローは人頭税の不払いにより逮捕され、刑務所に入れられる。誰かが替わりに税を払ったことにより収監は一晩で済んだが、ソローは自らの納税を拒否する権利をもとに釈放を拒んだという。
 本書は、ソローがそうした行動の理由を町の人々に語った講演に基づくエッセイを翻訳したものである。正式なタイトルには諸説あるが「市民的不服従 Civil Disobedience」が最も多く用いられている。

 国家や法の要求が不当であると考えられる場合、自らの良心に従って行為する権利をソローは主張する。つまり、正しくないと思われる取り組みには従わない権利がある。ソローの発想と行為は、後にガンディーやキング牧師の精神的支柱となり、市民の非暴力による差別への抵抗運動へと結びついていく。

 巻末には原典が全文収録されているほか、訳者による解説もあり、ソローの入門書としても英語学習の教材としても有用である。

(寺)

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