研究者インタビュー

デジタル化時代の図書館

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図書館の将来は市民が決める

 こうした時代にあって、市民の皆さんが利用する公共図書館はどう変わって行くでしょうか。現代は変化が激しく、子どもの頃や若い頃に習った知識・技能だけでは不足してしまいます。大人になった後も学び続ける必要がある「生涯学習社会」です。生活・仕事に役立つ情報や、専門的な興味・関心に応えられる適切な資料を、自分で探し、使いこなさなければなりません。

 こうした、自ら学び続ける「セルフラーニング」において、これからも図書館は有用であり続けるはずです。自宅や職場からインターネットに接続できても、必要な、価値のある情報を見つけ出すことが難しい場合もあるでしょう。わが国でも図書館が契約する有料のデータベースをサービスする公共図書館も出始めています。一方、インターネット上のコミュニティでは、しばしば狭い人間関係の中で議論が先鋭化してしまいがちで、それが適切な判断を妨げる危険性も指摘されています。また、ネットだけでなく、リアルな書棚を眺めることで見えてくることも少なくありません。これからの図書館には、開放的な学びの場としての機能も期待されるでしょう。

 しかし忘れてはならないのは、公共図書館が今後どうなって行くのかを決めるのは、利用者である市民の皆さんだということです。無料の貸本屋としてのみ使おうとすれば、図書館はそうなっていきます。1994年に採択されたユネスコの公共図書館宣言は、民主的な社会を実現するのは、情報を見つけ出し評価する能力を身につけた「見識ある市民」であると謳いました。現実の社会のありように立脚しつつ、将来を含めて「良い図書館とは何か」を市民の皆さんとともに考えていきたいと願っています。

(取材=2009年9月2日/東北学院大学土樋キャンパス・3号館佐藤義則研究室にて)

研究者プロフィール

東北学院大学文学部歴史学科教授
図書館情報学

佐藤 義則 先生

(さとう・よしのり)1955年山形県生まれ。山形大学人文学部経済学科卒業後、東京大学経済学部図書館、東北大学附属図書館に勤務。図書館情報大学大学院情報メディア研究科博士後期課程修了。山形県立米沢女子短期大学、三重大学人文学部を経て、2007年より現職。専攻は図書館情報学。

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