研究者インタビュー

いのちの誕生を支える宮城の周産期医療の現在

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助産師としての臨床経験を研究に活かす

 地域で安心して出産し、子育てにつなげる仕組みづくりを進めるなかで、メンタルヘルスについての研究にも力を入れています。私は臨床の現場が大好きでしたが、育児疲れや児童虐待などの問題を抱える女性たちに出会ううちに、妊婦さんには精神面でのサポートが重要だと考えるようになりました。大学に学び、臨床発達心理士の資格を取るなどした成果を仕事に活かしてきましたが、後進の育成、教育を担うようになった今、精神面でのサポートの重要性をいっそう強く感じています。今年10月16・17日に仙台で日本周産期メンタルヘルス研究会の学術集会を主催します。看護職や産科医・精神科医が集まり、研究成果を発表します。多くの方々に周産期女性のメンタルヘルスの重要性の理解を促す好機だと思っています。

 妊婦さんの中には、病院のシステムになじめない方もいますし、不幸にして担当の医師と良い関係を築けなかった方もいます。そうした女性たちが、帝王切開を選んだことを悔いたり、自分を責めたりする例も見てきました。そうした方々のためにも助産師たちの活躍の場を広げたいと願う一方で、自ら個別の相談に応じることもあります。

 10代の妊娠や40代の妊娠、合併疾患のある妊婦さん、低体重出産や異常な妊娠・お産で生まれてくる赤ちゃん。こうしたケースが増え、周産期医療の現場は今、非常に多忙な状況にあります。しかし産科医と助産師、そしてNICUの小児科医が良い形で力を合わせることができれば、そうした状況は少しずつ改善され、出生数の減少という問題の解決にも光が見えてくるはずです。そして子どもの数が増えることは、やがて地域の活性化にもつながるでしょう。

 今これをお読みの市民の皆さんにも、助産師という職能に、より関心を持っていただければと思います。また、小・中学生、高校生に対する性教育にも取り組んでいますので、そうした機会を作り、助産師を講師として呼んでいただければ幸いです。かつては「寝た子を起こすな」という理由で性教育に消極的な教育機関も少なくありませんでしたが、今はとてもそんなことを言っていられる状況ではありません。そしてもちろん、子どもたちだけでなく市民の皆さんにも、女性の抱えている様々な問題や、周産期医療をめぐる問題に目を向け、一緒に考えていただきたいと願っています。

 (取材=2010年2月16日/東北大学医学部保健学科棟・佐藤教授室にて)

研究者プロフィール

東北大学大学院 医学系研究科教授  
周産期看護学

佐藤 喜根子 先生

(さとう・きねこ)1952年2月宮城県生まれ。東北大学医学部附属看護学校卒業。東京大学医学部附属助産婦学校卒業。慶応大学文学部卒業。東北大学教育学研究科修了。東京大学医学部附属病院で助産師、東北大学医学部附属病院で助産師、後に副看護婦長を務め、東北大学医療技術短期大学部で講師から助教授。2003年より東北大学医学部保健学科教授。

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