研究者インタビュー

「給食」は医療・福祉・教育と深く関わっています

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左:尚絅学院大学 調理実習室 右:学生が作成した献立メニューや野菜の情報のPOP

栄養士を養成し続けた45年間

 1966年、私は尚絅女学院短期大学(当時)に、寄宿舎の栄養士として赴任しました。県外からの入学者が多く、寄宿舎はいつも定員一杯です。大学を出たばかりだった私は、中学生から短大生まで150人、後には180人もいた生徒・学生たちの給食のメニューを、毎日考え続けました。自分の工夫した献立を、調理師さんたちが手際よく調理してくださって、それを生
徒たちが喜んで食べてくれるのです。大変でしたが、大きな充実感を感じながら仕事に取り組んでいました。

 同時に授業も受け持ちましたから、今年3月まで45年にわたって栄養士の養成に携わったことになります。この間、給食の技術は大きな進歩を遂げ、調理機器も発達しました。今では天ぷら以外の揚げ物は、熱した油で揚げることなく、コンビオーブンという調理機器で調理しています。技術だけでなく、温度管理の徹底など、給食の経営管理はこれからも変化を続けていくことでしょう。

 一方で私たちの食生活も大きく変化し、食事をはじめとする日常生活に起因する生活習慣病が広がりました。栄養士を目指しているだけあって、私が教えてきた学生たちは、自炊の子を含めて食事はしっかりとっています。しかし今は、食べ過ぎや栄養の偏りによって、体調を崩したり病氣になったりする若い人たちも少なくありません。食べ物が不足して苦しんだ時代を知っている私から見ると、まさに隔世の感があります。

 自炊する若者にとって、環境は以前より良くなっています。昔は野菜はまるごと1個でしか買えませんでしたが、今では近所のスーパーやコンビニで、少人数用にカット野菜が売られていますし、一人用に小分けした料理も売られています。電子レンジがあれば、ブロッコリー、カボチャ、ジャガイモなどの野菜も“チン”して、すぐ食べることができ、調理にも手間がかかりません。若者に限りませんが、ちゃんとした食べ方をしていれば病氣の予防にもつながります。主食、主菜、副菜のバランスに氣をつけ、できればお米は、玄米か胚芽米を食べるようにしましょう。「1日3回緑黄色野菜を食べる」ことを心がけるだけでも、食事のバランスは大いに改善されます。量の目安としては、毎日「生で両手いっぱい」の野菜を食べてください。

 この春をもって、定年で大学の研究室を離れます。しかし若い世代に経験を伝え、機会があればこうして市民の皆さんに栄養や給食についての話をすることを、これからも続けていきたいと思っています。

(取材=2011年2月23日/尚絅学院大学1号館2階・調理実習室実習食堂にて)

研究者プロフィール

(前)尚絅学院大学 総合人間科学部
  健康栄養学科 教授(家政学)

佐藤 玲子 先生

(さとう・れいこ)1944年宮城県生まれ。宮城学院女子大学卒業。尚絅女学院短期大学講師、助教授、教授、尚絅学院大学助教授を経て教授。定年により2011年3月に退職し、現在は同大学の非常勤講師を務めている。

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