編集部だより

3月に想う

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 今年も3月11日を迎え、あらためて「東日本大震災」を振り返る機会がたくさんありました。「まなびのめ」紙版第23号に掲載している「学び」イベントの中にも、その類がいくつかある中、今年も東北大学災害科学国際研究所主催の「かたりつぎ~朗読と音楽の夕べ~」に参加してきました。
 多くの方から集めた「当時の体験談」に学術的な知見を加え、教訓を伴う「語り」にして伝えていこう、というこの取り組みは、単に学問的知識に対する興味関心にとどまらず、心に響いて、より「忘れない」効果が高まるものと感じます。阪神大震災以降、彼の地で語りつぐ朗読活動をつづけている女優・竹下景子さんが、こちらでも「かたりつぎ」をつづけてくださるようです。
また、昨年・今年とこの「かたりつぎ」で法話を行った山元町の徳本寺・早坂文明住職は、震災後も続けている「テレホン法話」などの内容をまとめた著書を刊行しています。昨年発行が『まっすぐに ただ、まっすぐに』、今年発行したのが『一歩先へ 二歩先へ』。どちらも「3・11 その先へ」の副題が付けられています(ともに「蕃山房」発行)。地元紙・河北新報でも大きく取り上げられていたので、記事をご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
被災地では、震災は過去のことでは全くありませんが、ちょっと離れた地域の方には、「そういえばそうだったなあ」と年に一度思い出すくらいのことになっていっているかもしれません。たまにでも思い出し、振り返るときがあることは大事です。次の大災害(地震・津波に限りませんね)は、どこでいつ起きるかわかりません。対岸の火事と思わず、近い将来に向けて備えておくことが必要ですね。
「東日本大震災の教訓をこれからの防災に活かす」ということでは、来年3月に仙台市で開催される「第3回国連防災世界会議」は、ひとつの大きなトピックです。主に、国や自治体の行政としてどうしていくか、がテーマになるのかと思いますが、市民自身も災害にどう向き合い、防災にどう取り組んでいくか、も大切なことでしょう。世界会議開催を契機に、学術界のみならず、行政や経済界と市民がむすびつき、実のある防災体制づくりを進めるために、「まなびのめ」も何かしら情報発信に貢献できれば幸いです。

「まなびのめ」編集長 川又進

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